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日本映画界の救世主『劇場版「鬼滅の刃」無限列車編』

どうも、とりふぁです。

いつものことながら、前回の更新からだいぶ空いてしまいました(^◇^;)

その間に、なんと、はてなブログ】の公式Twitterで当ブログの『TENET』についての記事が紹介されたりなんかして、大変びっくりしました……!!!

さてさて、今回なのですが、単行本がオリコンのトップ10を独占したり、各地の映画館での上映回数が異常なほど多くなっていたり、果ては、たった1本の作品による週末の興行収入【日本以外の世界中の全ての興行収入を上回った】という嘘のような伝説的記録を残し、今や完全に社会現象と化しているこちらの作品……そう、『劇場版「鬼滅の刃」無限列車編』をご紹介します!

もっとも、映画館周りのこれらの現象や記録は、今がコロナ禍の真っ最中であるという、歴史的に見ても極めて異例な状況下であるというのもあるわけですが……。

そういった点も含めて、まさに日本映画史、いや、世界映画史にも残るだろうアニメ作品となりましたね。

しかしながら、というべきか、だからこそ、というべきか、アンチや食わず嫌いが多い現状もあるわけで。

自分も、初めはまさに食わず嫌い派だったのですが、実際に触れてみると、これがどうしてどうして、なるほど、社会現象になるべくしてなった素晴らしい作品だったのです!

では、早速ご紹介です!!

食わず嫌いにしておくのはもったいないですぞ!!

 

 

 


『劇場版「鬼滅の刃」無限列車編』のあらすじ

家族を鬼に惨殺され、唯一生き残った肉親、妹の禰󠄀豆子も鬼となってしまい、彼女を人間に戻すべく、鬼狩りの一団である【鬼殺隊】に籍を置き、日夜、鬼との壮絶な戦いを繰り広げる少年、竈門炭治郎

度重なる激闘や、戦友との出会いと別れを繰り返し、たくましく成長した彼は、同じく鬼殺隊に籍を置く我妻善逸嘴平伊之助と共に、短期間で40人以上の人々が行方不明になっているという無限列車への潜入任務へと赴く。

任務は、無限列車内へ既に潜入している、彼らの上官にして【柱】と呼ばれる実力者の一人、煉獄杏寿郎を援護し、無限列車内に潜む鬼を殲滅すること。

容易い相手ではないことは誰もが承知の上だったが、そんな彼らの想像すらも遥かに上回る強力な鬼が、彼らの前に立ちはだからんとしていた——。

 


「——俺は、俺の責務を全うする!!!」

 


レビュー

これぞ王道少年漫画の最新版

本作は、週刊少年ジャンプにて連載していた、吾峠呼世晴による漫画作品を原作とする深夜アニメの劇場版です。

内容としては、あらすじにも書いた通りの復讐譚かつ冒険譚と言ったところですが、その中に、「これでもか!」というくらい、古くからの少年漫画の王道を詰め込んだ作品になっています。

個性豊かな登場人物達によるオフビートなコメディ要素込みのドタバタな冒険に、思わず真似したくなる必殺技の数々。

何者でもなかった主人公が、その素質を開花させ【誰にも変われない何者か】になっていく快感

特訓に次ぐ特訓、強敵に次ぐ強敵。

勧善懲悪のストーリーでありながら、悪にも悪の事情があるという、歌舞伎から続く伝統的な語り口。

そういった王道の要素がぎゅうぎゅうに詰め込まれているからこそ、初めて漫画を読む子供達はもちろん、古くからの漫画ファンまで巻き込み、ここまでの一大ムーブメントを巻き起こしているのだと個人的には思います。

他方、残虐描写が取り沙汰されることもありますが、絵がポップであり、また、全体としては非常に道徳的な配慮がなされているエピソードが多いため、ついていけないということもなく、寧ろ、その残虐描写すら、ちょっと背伸びしたい子供達には魅力的なのではないでしょうか?(第一、これくらいの描写で残虐とか言ってたら、北斗の拳とかジョジョの奇妙な冒険とかどうなるのって話しですし笑)

 

また、ジャンプ掲載作にしては珍しく、全23巻という集めやすい巻数でキチッと完結したことにより、『ワンピース』『ナルト』『ブリーチ』のような、引き伸ばしに引き伸ばしを重ねた結果、古参ファンは離れ、新規ファンは取っ付き辛いということもなかったというのも幸いしているのは間違いありません。

 

しかしながら、個人的に本作が爆発的ヒットを果たした最大の要因は、【異常なほどにクオリティの高いアニメ化に成功したこと】だと思います。

 


Ufotable制作の、まさに神作画なアニメ版

本作は、2000年に設立されたUfotableというアニメ制作会社の手により、2019年4月から深夜アニメとして放映が始まりました。

そして、そのアニメ版『鬼滅の刃』は、ファーストカットである、雪原を歩く炭治郎のシーンを一目見るだけで、「とんでもないアニメだぞ……」と思わされること請け合いな超絶ハイクオリティ作画だったのです……!!!

正直、アニメを観るまでは、各所でネタにされている作品(失礼……!)としてしか認識していなかったので、それほど期待せずに観始めたのですが、このファーストカットだけで、私は心を鷲掴みにされました

なんというか、質感、動き、カメラワークに至るまで、テレビアニメに許されたクオリティじゃないんですよ……!!!

あまりにクオリティの高い画面作りゆえに、劇場用アニメが始まった時に感じる独特なワクワク感を感じたほどでした。

アレ多分、なんの情報も入れずに観たら、「映画が始まったのかな……?」と勘違いすると思います(事実、先日、総集編がテレビ放映された際に、私のフォロワーさんの中には「これ、劇場用とかスペシャルじゃなく、毎週やってたの?」と疑問に思っている方もいらっしゃいました)。

そして、今や伝説となっている第19話『ヒノカミ』にて描かれた、神楽を舞うシーンでは、ロトスコープ(※1)を使用した、異様なまでに滑らかな舞が描かれ、それがまた非常に美しいのなんの……。

あれ、テレビアニメでやっていいレベルの作画じゃないです……!!!

そこからの必殺技の演出とカメラワークも神がかり的ですし、本当、凄まじいシーンの連続でした……。

そんな凄まじい作画を実現してみせたUfotableですが、個人的に印象に残っているのはFate/ZEROおよびFate/Unlimited Blade WorksというFateシリーズのアニメ版ですね。

 

そちらもやはり深夜アニメで、また、やはり超絶的なクオリティのアニメだったと記憶していましたが、『鬼滅の刃』は、そこからさらに一歩も二歩も進んだアニメーション表現に到達していますね……!

というのもこの会社、制作過程のほぼ全てを自社内で賄える環境にあり、外注をほとんどしない(※2)ので、各部の徹底した意思疎通によるクオリティコントロールが可能なのだとか。

なるほど、それは強い……。

そして本作は、そんな【テレビアニメの時点で劇場用アニメのクオリティに達しているアニメ】【劇場版】なわけで、そのクオリティたるや、もはやアニメ映画史に残るレベルの作画になっているのです……!!!

 


※1:ロトスコープというのは、まず実写の動きをカメラで撮り、それをトレース(写し描き)してアニメにする手法のこと。これにより、実写的なリアルかつ滑らかな動きをアニメに持ち込むことができるのです。有名なところでいうと、ディズニーの初期長編作品などで使われています。

 


※2:通常、テレビアニメは、一社で作ることが非常に難しいため、複数話毎に外注し、複数の制作チームで作ります。そのため、重要な回は神作画なのに、それ以外で作画崩壊してしまうということがあったりするのです。しかし、Ufotableは出来る限り自社だけで完結するようにしているため、毎回神作画にできるんですね。

 


アニメ史に残るクライマックス!

そして、そんな凄まじい技術力を誇る制作会社が、満を持して贈る劇場公開版が本作です。

もちろんアニメとしてのクオリティは折り紙付きで、全てのシーンが激しく滑らかで、そして、美しいものになっています。

中でも、クライマックスを飾るラストバトルは、動きはもちろん、演出、演技ともにアニメ史に残ること請け合いな超絶クオリティで、ぶっちゃけ、このシーンだけでも映画料金分の価値はあると思いますし、そのシーンが凄まじ過ぎるだけでなく、そこまでのシーンも軒並み高いクオリティで、最初から最後まで文句なしに素晴らしいアニメ体験ができるのです!

そのように、アニメ作品として極めて高い水準の映像、演出、演技の上で、前述したような王道のストーリーが展開していくわけですから、そりゃあ老若男女にヒットするわけですね。

 


まとめ

というわけで、『劇場版「鬼滅の刃」無限列車編』のご紹介でした!

とにかくアニメ表現としてのクオリティが尋常ではない本作

テレビシリーズから直接続く作品であるということで、鑑賞に際して、テレビシリーズを観ておくことが前提とはなってきますが、何せシンプルな物語かつ【良くも悪くも、非常に丁寧に状況説明をしてくれるという説明過多な作品】なため、ぶっちゃけ、テレビシリーズを観ていなくとも、分からないということはないと思います。

そのため、「気になるけど、テレビシリーズを観る時間はないな……」という方でも、思い切って行ってみても大丈夫だと思います。

コロナ禍であることが、逆に効果的に作用し、いよいよ本格的に日本の歴代興行収入第1位の座が射程圏内に入ってきた本作。

かなり特殊な条件が重なったからこその社会現象化であるのは間違いないので、おそらく、これを逃すと、今後十数年はこのレベルの話題作は出てこないと思います。

そんなビッグウェーブに乗らない手はありませんよ!!

というのも、ぶっちゃけ、私って【話題作に乗っかるのがあまり好きではない】のですが、今回、嫁さんが【ガッツリのっかている様】を見て、「乗っかっちゃった方が面白いのかな……?」と乗っかってみたところ、意外にというか、案の定というか、非常に楽しかったのです(笑)

話題作は、話題作だからこそ、その賞味期限も短いことが多いので、是非ともこの機会に乗っかってみるのが吉だと思いますよ!!

列車だけに!!!(ステポテチーン

 


※本日ご紹介した『鬼滅の刃/無限列車編』は、2020/12/9現在、全国の劇場にて大規模拡大公開中です! また、Amazonプライムビデオでは、テレビアニメ版『鬼滅の刃』が全話無料配信中です(・∀・)

 

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