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オンリーワンな怪作『ファイティング・ダディ/怒りの除雪車』

昨日の記事の通り、『JOKER』を、観てきた訳ですが、ネタがネタだけに、勉強しておきたいことが多いので、レビューは後日に回します。

というわけで、今回は、リーアム・ニーソン主演でのリメイク版(『スノー・ロワイヤル』)も記憶に新しいこちら、『ファイティング・ダディ/怒りの除雪車です。

いやぁ、ブラックな笑いたっぷりで、なんとも言い難い感覚の作品でした。

 

『ファイティング・ダディ/怒りの除雪車(Kraftidioten)』のあらすじ

ノルウェーのとある街で除雪作業員として暮らしている、ニルス。彼は、移民ながら、人々の役に立っているとして、市民栄誉賞を受賞するほどの人物だった。

順風満帆とはいかないまでも、ささやかな幸せの中で暮らす彼のもとに、ある日、訃報が届く。

息子、イングヴァルが薬物の過剰摂取により亡くなってしまったというのだ。

ニルスは警察に、「息子が薬物使用などあり得ない」と訴えるが、警察は聞く耳を持たない。

諦めきれないニルスは、独自調査の末、息子が地元のマフィアに殺されたのだと知る。そして、マフィアに対する復讐を始めるのだが——。

「疲れたか、じいさん?」

 

レビュー

まるで、アンジャッシュのコント

本作を端的に表すなら、アンジャッシュのコントみたいな映画」だと思います(あるいは、伊坂幸太郎の小説かな?)。

要するに、勘違いが勘違いを生み、どんどんシュールな方向へ突き進んでいくお話しなのです。

さらに、登場人物が死ぬ度に、その人物の属する宗教におけるシンボルマークとともに、その人の名前が映し出されるという謎の追悼演出がシュールさに輪をかけます。

はじめの方こそ、「死ぬ→追悼」という流れで出てくる演出なのですが、途中からは、それを逆手にとって、追悼演出が出ることで登場人物の死を知るという順番になってきたりして、いよいよ笑えます(ここら辺は、バカリズム的かな?)。

死体処理の天丼(繰り返し)演出や、ラストシーンで唐突に起こる事故なんかは思わず吹き出してしまいました(笑)

あとは、敵の親玉が、意識高い系のアホというのもなかなかにツボでした。

そんなわけで、本作は、よくあるオヤジの復讐モノ、またはヴィジランテ(自警団)モノに見せかけて、その実、コメディであるという作品です。

ただ、コメディなのは、あくまでも演出がそうなっているからであって、映画内では、「コメディですよ〜」というようなシーンは、ほぼありません

これは、『JOKER』にも通じる部分ですが、要するにチャップリンの名言、「人生はクローズアップで見れば悲劇だが、ロングで見れば喜劇だ」を地でいく演出といったところですね。

登場人物達にとっては、どれもこれも必死に対応しなければならない悲劇なわけですが、それをはたから見ている我々にとっては、滑稽な喜劇に映るわけです。

フレッシュなアイディアの数々

追悼演出もかなりフレッシュだったのですが(似たような演出を他の作品でも見た気がするんですが、何だったかな? 分かる方いたらコメント下さい笑)、その他にもフレッシュなアイディアがいくつかありました。

まずは、ニルスの使う武器です。

彼は、狩猟が趣味なのか、何挺かの狙撃銃を持っています。

当然、復讐にもこれを利用するわけですか、そこで彼は、そのうちの一挺を鋸でソードオフ(銃身を切り詰めること。有名なのは、マッドマックスで主人公の使うショットガンですね)するのです!

私の勉強不足もあるかもしれませんが、狙撃銃のソードオフは初めて見ました

細かいところでは、コーヒートレーを血避けに使うのとかも結構好きでしたね。

その他には、ラストの銃撃戦での重機使いなんかもなかなか新鮮ですね。まさか、あんな形で車を止めるとは……(笑)(私は詳しくないのですが、重機萌えの方から見ても楽しい映画らしいです。確かに、でかい機械が動くところはロマンがありますよね)

こうしたフレッシュなアイディアの数々だけでも、本作を観る価値は十二分にあります。

まとめ

以上、『ファイティング・ダディ/怒りの除雪車のレビューでした。

とにかくブラックな笑いに、フレッシュな演出とアイディアが満載の本作。

正直、本作を観た感覚は他では味わえません。まさに、オンリーワンな作品です。

それだけで、本作は観るべき作品言えます。

あまりにもオンリーワンなため、好きか嫌いかは置いておいて、とりあえず観てみて下さい(個人的には大好きです笑)!

※今回紹介した、『ファイティング・ダディ/怒りの除雪車』は、2019/10/21現在、アマゾンプライムにて無料配信中です。