終わりゆく西部を旅しませんか? 『RED DEAD REDEMPTION』
改めまして、明けましておめでとうございます!
とりふぁです。
今年もゆるりと自分のペースで書いていきますので、思い出した時にでもお越し頂ければ幸いです(´∀`)
さて、新年一発目の記事(前回の記事は昨年書いたものなので汗)は、傑作にして名作西部劇『RED DEAD REDEMPTION』です。
え?
そんな西部劇知らないって??
だとしたら、それはもったいなかったですね……。
と言っても、ぶっちゃけ、知らなくても仕方ないと思います。
なぜなら、今回ご紹介する作品は、いつも紹介している映画やドラマ作品ではなく、ゲーム作品だからです。
「なんだ、ゲームか……」と踵を返そうとしたそこのあなた!! 判断は、ある程度記事を読んでからでも遅くはありませんよ!!!
というのも、ゲームといえば、子供の遊びや大人の暇つぶしというイメージがある方もまだまだいらっしゃるかもしれませんが、しかし、実際は、ここ10年〜20年(ものによってはそれ以前から)ほどの間に、ゲームは、【文学・絵画・音楽・演劇・映画】に並ぶ【第6の芸術】と呼べる域に達しているからです。
しかもそれは、【受け手側が積極的かつ能動的に作品世界に入り込み、干渉することで表現される芸術】という、これまでに存在したどの芸術とも違う独自性を持ったものなのです。
この記事をキッカケに、新たな芸術の扉を開いてみるというのも、新年らしくていいかもしれませんよ?(笑)
では、ご紹介です!
↑ ゲーム界ではレジェンド級の一作です。
詳しくは後述しますが、個人的にはXbox360版をオススメします。
『RED DEAD REDEMPTION』のあらすじ
1911年のアメリカ。
血と硝煙が支配する無法者の時代が終わりを告げる頃。
元無法者のジョン・マーストンは、かつて、ダッチ・ギャング団の仲間として共に旅をした男、ビル・ウィリアムソンを探して西部の片田舎を訪れていた。
苦虫を噛み潰したような表情に、手には使い古されたリボルバー。
もちろん、旧交を温めるために来たわけではない。
ジョンの妻子を人質に取ったアメリカ政府の卑劣な要求により、彼は、かつて自らが所属し、今はもう過去のものとなったダッチ・ギャング団の残党を狩ることを余儀なくされていた。
最終目標は、元首領、ダッチ。
それはかつて、彼が父と慕った男だった——。
「たとえ変わることができないとしても、変わろうとすることが大切なんだ」
レビュー
1911年、終わりゆく西部
本作の舞台は、1911年のアメリカです。
この舞台を聞いた時点で、ある種の人間にとっては何をか言わんやといったところですが、1911年といえば、今なお世界中で愛されているオートマチックピストルの名器中の名器にして、アメリカのアイコンの一つとも言える、コルト・ファイヤーアームズ社のM1911(コルト・ガバメントの通り名も有名ですね。銃に明るくない方でも、絶対に見たことはあると思いますし、なんなら、今想像しているその銃がM1911かもしれません)が世に出た年であります。
↑【M1911】映画やドラマでもよく見るであろう、歴史に名を遺す名銃です。
これは今から振り返ると、コルト・シングルアクション・アーミーをはじめとする、西部劇の英雄や悪漢達が用いてきた、リボルバーの時代が終わったことを意味しています。
↑【コルト・シングルアクション・アーミー】良くも悪くも、銃社会アメリカ建国の祖となった銃です。
略称はSAA。
つまりは、ガンマン達による、西部劇の時代の終わりが始まった年なのです。
そんな象徴的な年を舞台に、プレイヤーたる我々は、ジョン・マーストンという一人のガンマンとなり、【ギャングだったという自らの過去】、転じて、【西部劇の時代】に【始末をつける】ための壮大にして壮絶な旅を追体験するわけです。
もうこの設定と背景だけでも、たぎってきませんか……?
西部劇のお約束を自らの手で演じる快感
そんな旅の中で、プレイヤーは、様々な西部劇のお約束に出くわします。
まずは、西部劇と聞いて誰もが思い浮かべるであろう、向かい合ったガンマンによる、一対一の決闘。
ほとばしる緊張感と、一瞬でカタのつく無情感溢れるあの決闘を、自ら体験することができるのです。
もちろん、相手の銃を撃ち落として殺さずに勝つこともできます。
はたまた、投げ縄で賞金首を捕まえることもできますし、あるいは、首をつられそうになっている人物を、間一髪で縄を撃ち抜いて助け出すことや、牛追いをしたり、ガトリングガンをぶっ放したり、荒野のど真ん中にキャンプを貼り、朝焼けの中でコーヒーを啜るなど……マニアックなところでは、ふん縛った相手を線路に放置するなんてこともできます(笑)
とにかく、西部劇と聞いて想像するようなことは全部できると思っていいです。
THE GOOD? THE BAD? or……?
そんなお約束は、出来ることだけではなく、起こることもまたしかりです。
本作は広大な西部を舞台とするが故に、ともすれば、馬を駆り、街から街へと一人で荒野を駆け抜けるだけというプレイになってしまいがちです。
しかしながら本作は、それを回避するために、ランダムイベントというシステムを導入しており、ゲーム内の決まった時に起こる展開(イベント)だけでなく、街中を歩いている時や、荒野を駆け抜けている時などに、偶然、なんらかのイベントに出くわすことになります。
これにより、プレイヤーの旅は千差万別の展開を迎えることになるため、ゲームプレイが単調になりにくいのです。
例えば、囚人を乗せた馬車が通り過ぎ、その中から「俺は無実だ! 助けてくれ!!」という泣き言が聞こえてきたり、あるいは、盲目の老人が小銭を求めて来たり、はたまた、攫われた女性が今まさに首を括られる瞬間に立ち会ってしまったり、時には、強盗にあったであろう駅馬車の客に助けを求められたりもします。
そのように、西部劇の展開として、あるあるなシチュエーションやイベントが不意のタイミングで表れ、そして、そのイベントに対してどう接するのか(善意の人として手を貸すのか、悪人として利用するのかなど)、あるいは無視するのかまで、全てがプレイヤーに委ねられているため、あなたの思うがままのキャラクターを演じることが出来るのです。
しかも、そのあなたの選択により、その後の展開が変わり、主人公の立ち位置も変わっていきます。
主人公の立ち位置によっては、街の人々からの態度も変わってきて、時に英雄として讃えられたり、時に悪人として賞金をかけられたりもし、そして、その度に出くわすイベントも少しずつ変化していきます。
要するに、プレイヤーの数だけの旅があり、そして、物語の本筋はあれど、プレイヤーの数だけ独自のストーリーが存在するということであり、だからこそ、プレイヤーは【映画を観る以上に、主人公や登場人物達に感情移入する】のです。
これこそが、ゲームにしかない独自の芸術性、いわば【体験する芸術】だと私は思います。
しかし、それだけでは、本作が【映画を超える】ことはできなかったでしょう。
本当にすごいのは、ここからなのです。
映画では絶対に表現し得ない驚愕のエンディング(演出についてのネタバレあり)
ここからは、物語についての直接的なネタバレは避けますが、演出についての多少のネタバレはありで語らせてもらいます。
そのため、ここまでを読んで、充分に魅力を分かっていただき、どうしてもネタバレなしで楽しみたい! と言う方は、ここからはプレイ後にでもお読み頂ければ幸いです。
とはいえ、本作も既に発売から10年が経っており、日本では、リメイクや後継機版(ゲームというのは、基本的に5〜6年単位くらいで新しい機種が出るのです)も発売されていないので、今となっては、若干、プレイし難い部類の作品にはなるかと思いますので、その点はご留意下さい(発売は、PlayStation3および、Xbox360のみです。個人的にはゲーム制作環境の都合上、PS3版より画面のクオリティが高い360版をオススメします)。
では、いきます。
本作が【映画を超えた】と私が思う部分。
それは、本作のエンディングです。
かつての仲間達を狩る旅を終え、本作の主人公ジョン・マーストンには、ある一つの結末が訪れます。
そして、当然のように始まるエンディング。
ラストシーンの余韻に浸りながら、これまでの旅を振り返り「いいゲームだったなぁ……」と感慨深くスタッフロールを見ていくと、最後の最後に、本作のプレイヤーならば、誰もが感情移入していたであろうある人物が、ある場所にいる画面でエンディングは終わります。
普通の映画なら、ここで終わりです。
しかし、本作はそれで終わりではなかったのです……!
どういうことかといえば、なんと【今見ているエンディング後の場面からゲームが続行】し、【とある指示】が表示されるのです。
これは、映画で言えば、1作目が終わったシーンから2作目が始まるようなもの。
それを、1作の中でやってのけているのです。
しかも、その指示も、例えその指示がなかったとしても【あのエンディングを観た者であれば、絶対に分かるし、絶対にそうする】であろう指示が提示されるため、この場面にこそ、あまりのサプライズと演出の妙、そして、【ゲーム内の感情とプレイヤーの感情が完全に一致すること】に、震えるほどの感動を覚えるのです(さらに言えば、『RED DEAD REDEMPTION[=赤き死の贖罪]』というタイトルに秘められた意味も、ここへ来て完全に回収されます)。
これは、映画には不可能な演出。
ここへ来て、本作は【芸術として映画を超える】のです。
そして、その指示に従い、あることをすると、物語は真のエンディングを迎えるわけですが、そのエンディングを終えた後も、その先の世界で生き続けること(つまり、プレイし続けること)は出来ますし、さらに言えば、指示に従わず、真のエンディングに辿り着かずとも、同じくその世界で生き続けることは可能です。
【物語は終わるが、世界は続く】。
これは、基本的にどの映画や文学、ドラマでもその通りなのですが、しかし、映画や文学、ドラマや演劇などでは物語の先を描くことは絶対に不可能です(物語の先を描くと、今度はそこが次の物語になってしまうため)。
だからこそ、我々は好きな作品のその後を空想したり妄想したりして楽しめるわけですが(笑)
しかし、ゲームの場合、物語を終わらせた先の世界だけを描き、そして、その中で生き続けるということが可能なのです。
そんな、ゲームでしか不可能な物語や世界の語り方を表現してみせたことで、ゲームは芸術の域に達し、そして、だからこそ、【映画を超えた】と私は思うのです。
もっとも、それは語り方や語り口が違うというだけで、優劣があるという意味ではありません。
文学と演劇、そして映画とを比べることができないように、ゲームもまた、存在そのものが違うわけですから。
だからこそ、私はゲームを【第6の芸術】だと思うのです。
まとめ
というわけで、『RED DEAD REDEMPTION』のご紹介でした!
先にも少し触れたように、本作はもう10年前の作品(図らずも、今年は10周年のアニバーサリーイヤーでした!)であり、基本的にはPlayStation3とXbox360でしかプレイできない作品になっているため、今から触れることは、それらのうちのどちらかを持っていないとできないということで、多少ハードルが高いという人もいるかもしれません(ある作品を堪能するために、対応機種が必要であり、その機種が膨大にあるというのが、ゲームの芸術としてのネックな部分の一つだと思います)。
↑ 日本でのシェアは死に体ながら、世界的シェアおよびゲームハードとしての機能は圧倒的なXbox360
↑ 日本での圧倒的シェアと遊びやすさを誇るPlayStation3
しかしながら、ゲームが好きな方はもちろん、今ではゲームをやめてしまった方や、ゲームに触れて来てこなかった方にも、ぜひとも体験していただきたい、他の芸術作品では絶対に不可能な、至高の物語と演出を持つ作品であることは間違いがありません。
ゲームの本質が【遊び】であることは今も昔も変わりませんが、しかし、その遊びは、今やもう芸術の域に達しています(そもそも、絵画や音楽、文学に映画だって、全ての芸術は、そもそもは遊びから発展したものですし)。
コロナ禍で、どこかへ出かけることもためらわれる昨今、そんな、ゲームの持つ素晴らしい芸術性と可能性に触れてみるいい機会かもしれませんよ?
特に本作は、旅をするという作品の本質上、家にいながら、アメリカへ、それも西部開拓時代末期のアメリカへ行くことができるのですから……!
そして、芸術の域に達しているゲームは、本作だけではありません。
今年からは、そんな、素晴らしいゲームの世界についても語っていければと思います。
ではでは、本年も【trifa’s grind house】をよろしくお願いします!!
※今回ご紹介した『RED DEAD REDEMPTION』には、前日譚たる続編『RED DEAD REDEMPTION 2』が存在します。2021/1/9現在で、私はまだエンディングにたどり着けていません(終わらせるのがもったいなくて、じっくりじっくりプレイ中でして笑)が、こちらも名作であることは間違いなく、また、対応機種もPlayStation4、XboxONE、PCと、未だに現役な機種かつソフトの発売自体も比較的最近なので、こちらの方がプレイしやすいかもしれません。
↑ 続編の『RED DEAD REDEMPTION 2』です。
こちらもやはりXboxONE版の方がクオリティが高いようです(私は最もクオリティの高いPC版でやってます。リンクは貼っていませんが、高性能なゲーミングPCがあれば、ぜひPC版を!)
↑ XboxONEのアップグレード機種XboxONE Xです。
私は360以降はPCへ移行してしまったのですが、評判を見る限り、やはり、ゲームハードとしての便利さではPlayStationに勝るみたいですね。
さらに、今回ご紹介した『RED DEAD REDEMPTION』も4K画質へアップグレードしてプレイできるようです。『RED DEAD REDEMPTION』シリーズを2作品とも楽しむなら、こちらが最適解かもしれません(PC版には1作目が存在しないので汗)。
↑ PlayStation 4です。つい先日後継機が発売されましたが、ぶっちゃけ、まだ2~3年は現役だと思います。
ゲームハードとしてのクオリティはXboxONE Xに劣りますが、日本における圧倒的シェアの高さと取っつきやすさがあります(Xbox系は、日本だとソフトが売ってないことが多いんですよね汗 その分、ダウンロード版を買ったり、北米版がプレイできたりという強みはありますが、やはり少し面倒です)。