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フロンティア精神とジャンル映画の見事なる融合『トマホーク/ガンマンvs食人族』

※後ほどレイアウトとリンク先を手直しする予定です

どうも、trifaです。

皆さん、西部劇って好きですか?

私は、本格的な西部劇は『夕陽のガンマン』くらいしか観ていない(※1)ので、そこまで詳しいわけではないのですが、『RED DEAD REDEMPTION』(※2)という傑作ゲームのお陰で、ジャンルとしてはすごく好きなんです。

西部劇にはいくつか大切な要素があると思います。

自らの命よりも自らの信念を貫くという、男らしい(現代においては、あくまでもカッコ付きではありますが)生き様だったり、なんらかの脅威を銃を持って退ける自衛の心得だったり、あるいは、未開の地(フロンティア)と文明の光(シヴィライゼーション)とのせめぎ合いだったり。

そういうものを合わせて、古き良きアメリカ人の心、フロンティア精神と言うのでしょうね。

本日ご紹介する、『トマホーク/ガンマンvs食人族』は、そんなフロンティア精神を、食人族という、ある種露悪的で、かつ、極めてジャンル的なモノと絡めることで描き出した作品でした。

邦題(※3)だけを観ると、それこそ露悪的なジャンルムービーかと思われるかもしれませんが、実際の中身は全く違い、西部劇、もっと言えば、ロードムービーとして非常に味わい深い作品でした。

 


※1 現代版の西部劇はちょこちょこ観てはいます。『トゥルー・グリット』だったり、『マグニフィセント・セブン』だったり、『3時10分、決断の時』だったり。他にもまだありますので、そのうち、現代版西部劇特集的な感じで扱ってみてもいいかもしれませんね。

※2 『RED DEAD REDEMPTION(RDR)』は、2010年に発売されたロックスター・ゲームス製の西部劇をモチーフとしたオープンワールドゲームで、RED DEADシリーズの第二弾です。個人的には生涯ベストゲームで、ある意味で映画を超えた作品でもあります。そこら辺のことは、そのうち語ってみたいですね。ちなみに、この『RDR』のヒット以降、映画業界でも西部劇がまた多く作られるようになった気がします。

※3 原題は、『BONE TOMAHAWK』。直訳するなら、骨の手斧といったところでしょうか。ちなみにトマホークというのは、ネイティブ・アメリカンが使う手斧のことで、叩き切ることの他に、投擲武器としても使われます。本作でも、まさにタイトル通りの骨製の手斧が印象的かつ衝撃的なシーンで用いられていますね。

 


『トマホーク/ガンマンvs食人族』のあらすじ

ある日、アメリカの片田舎にある長閑な町、ブライト・ホープで、使用人の黒人が惨殺され、さらに、住民を含む複数の人物がさらわれるという事件が起こった。

捜査の末に、犯行を行ったのは、言葉を持たず、洞窟に住み、人を喰らうという未開の民族、穴居人であることが判明する。

そこで、保安官のフランクリンは、さらわれた女医の夫であるアーサーと、副保安官の老人チコリ、そして、南北戦争時代に原住民を虐殺したブルーダーの三人を連れ、穴居人の住む未開の土地を目指して出発するのだった。

奇妙な四人の旅の果てに待つのは、救済か、それとも絶望か——?

「アイツらは我々とは違う。女とあれば自らの親ですら犯し、喰らう。野蛮な奴らだ」

 


レビュー

文明人vs未開人ながら、差別意識は排除している

本作は、邦題からも分かる通り、ガンマンという文明人と食人族という未開人が戦う映画です。

しかしながら、本作では、その内容から想像されるような、未開人(原住民)差別からは距離を置くような描き方がされています。

それが最もよく分かるのは、あらすじに書いた台詞のシーンです。この台詞は、町に住むネイティブ・アメリカンが発する台詞なのです。

この台詞をわざわざネイティブ・アメリカン(=原住民)であるキャラクターが発することにより、本作における食人族、穴居人は、原住民からも忌み嫌われている怪物であることが浮き彫りにされます。

ネタバレを避けるため明記は避けますが、その他にも穴居人周りの描写は、人間らしさが徹底的に排除されており、野蛮な原住民というよりも、むしろ、得体の知れない怪物として描かれています。

これらの描写があるから、全く差別的な意図は含まれていないとまでは流石に言えませんが、しかしながら、少なくとも、製作者側としては「差別意識はありませんよ」というエクスキューズとしての機能は果たされていると思います。

つまり、本作における食人族は、原住民としてではなく、突如として襲い来る、理不尽な暴力のメタファーとして存在しているに過ぎないのです。

ちなみに、そうした脅威のメタファーとしては、ゾンビもよく用いられるモチーフではあります。しかし、それを使ってしまうと、なぜゾンビが発生してしまったのかという余計な謎が増えてしまうため、本作では食人族というモチーフが使われたのかもしれません。

とにもかくにも、本作はポリティカル・コレクトネス(差別意識からの公正性)が叫ばれる昨今において、かつてのジャンル映画的楽しさと、理不尽な暴力性のメタファーとして食人族を描くということにチャレンジした、意欲的な一作と言えるでしょう。

 


人間を丁寧に描いたロードムービー

さて、そんな本作ですが、ぶっちゃけて書いてしまうと、正直、食人族とガンマンが直接対決するのは、後半の30分弱ほどしかありません。それも、戦い自体は、結構あっさり風味です。

では、残りの1時間30分程度は、徹底してメインキャラクター達の描写を掘り下げることに費やされています。

それゆえ、メインの四人は、一面的ではなく、極めて多面的で、人間味溢れるキャラクターとして描かれており、自然と感情移入させられてしまうのです。

カート・ラッセル演じる保安官は、身内にはとても親切ながら、他所から来た犯罪者は容赦無く脚を撃ち抜くという、極めてフロンティア的な現実主義者です。犯罪者を撃ち殺すのではなく、脚を撃って逮捕し、治療の後に司法に引き渡すのが彼の流儀らしいのですが、治療に失敗して、死んでしまったら死んでしまったで構わないという、あくまでも裁きは司法に任せるけれども、結果として撃ち殺してしまったならそれはそれ、という、西武の男ならではのドライさが非常にたまりません。

観客が最も感情移入するであろう、妻をさらわれたカウボーイ、アーサーは、本来なら無敵のヒーローとして描かれるようなキャラクターなのですが、本作では、登場した際、既に脚を怪我してしまっており、旅においての邪魔者となってしまっています。敵を倒して妻を救い出したい気持ちも、フロンティアに対する経験値も最も高い彼が足手まといであるということで、本作は独特の緊張感とドラマが生まれています。

年老いた副保安官のチコリは、副保安官という自らの身分に誇りを抱いており、職務に対する情熱も人一倍なのですが、一方で、ボケのためか、あるいはもともとそういう性格なのか、とにかく周囲の空気を読まずに、ひたすらどうでもいい話しをし続けます。周りにいたら面倒くさいタイプの人間ではありますが、しかし、だからと言って邪険にもできない。そんな可愛げのあるキャラクターで、張り詰めた緊張感が続く本作において、要所要所でほっこりさせてくれる愛すべき人物です。

南北戦争時代の英雄で虐殺者のブルーダーは、紳士然とした、一見、利己的でいけすかない男に見えます。しかし、その実、戦争時代に培った経験と容赦の無さで、人からは理解されずとも、非常に頼れる男です。

本作は、そんな四人が、ひたすら未開の荒野を旅するシーンが続きます。

その道中は、劇的な撃ち合いが起こることもなく、非常に淡々としているのですが、そんな中で交わされる会話から、次第にそれぞれの思いや考え、過去が透けて見えて来るという描き方はとにかく丁寧で、好感が持てます。

そして、膨大な時間をかけて人間をしっかりと描いているからこそ、終盤の絶望的な戦いが、より胸に刺さるのです。

ガンマンと食人族という、とてもジャンル映画的な題材を扱いながら、ここまで丁寧なヒューマンドラマを綴る本作の味わいは、他の作品ではなかなか味わえない特異なものです。

 


唐突に襲い来る恐怖、ラスト30分の壮絶さ

さて、膨大な時間を費やして人間を描く本作ですが、しかし、穴居人の本拠地に到着してからの30分弱は、それまでの、ある種、弛緩していたとも取れる旅の道中の描写から一転、非常に壮絶で、恐ろしい描写が展開していきます。

と言っても、ゴア描写がたくさん出て来るというわけではありませんし、戦いの描写も、思っていた以上にあっさりしています。

しかし、その数少ないゴア描写が、どれもこれも、トラウマ級に凄まじいのです。

しかも、その壮絶な描写をそのシークエンスの割りと冒頭に入れておくことで、そのあとの展開の一つ一つが、「また、ああいう悲惨なことになるんじゃないか」という不穏さを予感させるようにしているあたり、非常にクレバーな作りです。

数少ないゴア描写を効果的に用いて全体の緊張感を増す。この手法の上手さには思わず唸らされます。

冒頭のアレにより、おそらく観客は、実際に映像上で展開している描写以上の暴力的恐怖を味わうことになるはずです。

この上手さ、本当にすごい。

また、敵が襲い来る際の描写が非常に唐突で、言ってしまえば「敵が来る」という映画的演出を完全に廃することで、真の意味でいつどこから暴力が襲いかかってくるか分からないという中に我々も叩き込まれるのです。

しかも、画面上でそんな悲惨さの中に突っ込んでいくのは、そこまで丁寧に丁寧に人物描写を重ねてきたキャラクター達なのです。

全員に生き残ってほしい、ああ、でも……。

このラスト30分の緊張感は、なかなか味わえるものではありません。

実に素晴らしい!

 


まとめ

ということで、『トマホーク/ガンマンvs食事』のご紹介でした。

正直、ジャンル映画的なアレコレを期待してしまうと、あまりにのんびりとした内容に、途中で飽きてしまうかもしれません。

しかし、こののんびりとした内容だからこそ、終盤で一気に畳みかけて来る本作の真の恐怖にやられてしまうのです。

食人族モノでまさかの2時間超えという長尺の映画ですが、それだけの時間をかけるだけの意味のある映画でした。

西部劇×食人族をこんな風に料理してしまうとは……監督の手腕に脱帽です。

しかも、本作でメガホンを取ったスティーブン・クレイグ・ザラー監督は、本作が初監督作とのこと。

これは、追いかけなければならない監督がまた一人増えてしまいましたね(笑)

では、本日はこのへんにて。

 


※今回紹介した『トマホーク/ガンマンvs食人族』は、2019/11/11現在、アマゾンプライムにて無料配信中です。

アーノルド・シュワルツェネッガーが、アクションを封印して挑む社会派人間ドラマ『アフターマス』

どうも、trifaです。

いよいよ本日から、ターミネーター/ニュー・フェイト』が公開になりましたね。

シリーズのそもそもの発起人、ジェームズ・キャメロンが久々にシリーズに復帰したことで、ターミネーター2の正統な続編(ここら辺、結構入り組んでますよね)とも言われる本作。これでようやくシリーズが前に進んでくれる嬉しいですね……!

さて、『ターミネーター』シリーズと言えば、なんと言っても、シュワちゃんこと、アーノルド・シュワルツェネッガーですよね!

彼はシリーズ一作目から、劇場版の『ターミネーター』シリーズには毎回登場しています(※)。

そしてまた、シュワちゃんと言えば、コマンドーイレイザーなど、80〜90年代を代表するアクションスターなわけですが、今回紹介するアフターマスは、そんな彼が、アクションを封印して、演技のみで魅せる意欲作です!

※4では、ご本人が出演したわけではなく、フルCGで出演しています。

 

まさかの似た表紙でした(笑)

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ヨーロッパ・コープ製戦うヒロインムービー『コロンビアーナ』

どうも、trifaです。

皆さん、ヨーロッパ・コープという映画会社を知っていますか?

水の精霊のような、女神のような女性が、首をかしげながら両腕を広げるロゴの会社です。

社長は、あのリュック・ベッソンです。

代表作としては、『96時間』シリーズや、『トランスポーター』シリーズなど。

ちなみに、個人的には、ダニー・ザ・ドッグが好きですね。

で、ここまでの話しで、映画をよく観る方や、勘の良い方は気づいたかもしれませんが、この会社、毎回、なんとなーく同じような作品ばかり作っている会社なんです(笑)

大体は、肉親や恋人を失ったり、危害を加えられそうになったりした主人公が、単身で敵を壊滅させるような内容ですね。

そして、多くの場合、気の強い女性や、パルクール的な要素が入ってきたりします(ここら辺、完全にリュック・ベッソンの好みが反映されていますよね)。

傑作というには微妙ながら、でも、観ればそこそこ面白い。

そんな印象の映画会社です(笑)

今回は、そんな映画会社の作品、コロンビアーナのご紹介です。

もちろん、ご多分に漏れず、いつものヨーロッパ・コープ作品でした!

 

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