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彼は確かに実在した——『ロッキー・ザ・ファイナル』

どうも、とりふぁです。

皆さん、ゴールデンウィークはどのように過ごされましたか?(いつの話題だよ!

こんな中ですが、十分に気をつけた上でお出かけされた方、家でのんびり過ごされた方、あるいはお仕事だった方、色々いらっしゃると思います。

かく言う私はと言いますと、連休最後の3日間に、5作目までしか観ていなかった『ロッキー』シリーズ6作品と、『クリード』シリーズ2作品を一気観するという強行軍を行なっていました(笑)

今まで、『ロッキー』は1と3が好きだったのですが、シリーズ全作を観た結果、今回ご紹介するロッキー・ザ・ファイナル(と、機会があれば紹介すると思うクリード/チャンプを継ぐ男』)が一番好きになりました!

なんていうか、今まで、シリーズの中だけで行われて来た勇気のバトンパスが、【現実に返される】ような作品になっていて、すごくグッと来たんですよね……。

ということで、ご紹介です!

 


ロッキー・ザ・ファイナル』のあらすじ

70年代後半から90年代までを稲妻のように駆け抜けた、ある一人のボクサーがいた。

彼の名は、ロッキー・バルボア

【イタリアの種馬】の異名を持つヘヴィ級ボクサーで、場末の三流試合から、あるきっかけを機に、一気にヘヴィ級チャンプにまで上り詰め、更には、行くたびもの挫折を乗り越え、アメリカンドリームを一身に体現する者として人気を博した彼。

しかし、今ではボクシングを引退し、最愛の妻には先立たれ、小さなレストランを経営する、善良なる一市民となっていた。

しかし、彼の中ではまだボクシングに対する情熱が燻っている。

そんな彼の元に、ある日、その最後の炎を燃やし尽くす絶好の機会が訪れる。

とはいえ、彼ももう50代。

肉体の衰え。周囲からの嘲笑。若者からの侮蔑。

果たして彼は、それら全てを跳ね除け、最後の輝きを見せることはできるのか——?

「肉体は衰える。でもな、心は歳をとらない」

 

 

 
レビュー

スタローンの大出世作『ロッキー』

『ロッキー』と言えば、誰もが知る超有名映画であり、本作までに5作品(今では本作とクリード2作品を合わせた8作品!)が作られる人気シリーズとなり、更には、アメリカ人の一種のアイコンとも言える存在にまでなっている屈指の名作です。

そして、言うまでもなく、ランボーと共に、映画人シルベスター・スタローンを代表する名キャラクターでもありますね。

 

そんな『ロッキー』ですが、作られた経緯や、その後の経過というのがなかなかにドラマチックな作品でもあります。

と言うのも、『ロッキー』という作品の物語的展開と、スタローンが歩んだ人生とが、ピッタリと重なる作品なのです。

『ロッキー』一作目のストーリーといえば、夢も目標もないが、ボクシングを愛しているロッキーという男のもとに、ある日、現役のヘヴィ級世界チャンプとの対戦という、誰もが不可能だと思うほどに危険な、しかし、非常に大きなチャンスが舞い込み、血と汗と愛でそのチャンスを手にしようとするという物語です。

一方、『ロッキー』を作った頃のスタローン自身はというと、何度も何度も映画のオーディションを受けては落選し、ポルノ映画への出演や、場末のバーの用心棒などをして日銭を稼ぎながら、映画への情熱の行き場を探していたという状況であり、そんな中、ある劇的なボクシングの試合を観たことで奮起し、たった3日で脚本を書き上げ、それをセルフプロデュースすることで映画化のが『ロッキー』だったのです。

もちろん、その後の評価や展開は皆さんの知る通りであり、この成功が基となって、シルベスター・スタローンは一躍スターダムへとのし上がり、今なお数多くの作品を作り続けているわけです。

言うなれば、『ロッキー』という作品内で描かれた物語と同じような成功を、スタローン自身が『ロッキー』という作品で成し遂げたわけで、これはもう、映画好きの間では語り種となっている定番エピソードですね。

また、時間軸としてはかなり後になりますし、これはまた別の話しになるのですが、クリード/チャンプを継ぐ男』においても、物語と制作経緯とが重なる部分が多いんですよね。

とにかく、『ロッキー』とスタローンは切っても切り離せないというか、メタ的な視点ではありますが、ロッキーの人生がスタローンの人生と呼応するというようなことが度々起きるというのも『ロッキー』シリーズの魅力の一つかなと思います。

 

↑こちらもまた傑作です

 


老境に差し掛かったロッキー、執念のワンスアゲイン

さて、『ロッキー』シリーズの主人公であるロッキー・バルボアですが、彼は、1作目で現役世界チャンプを相手に善戦し、アメリカの人気者となって以降も、数多くの試合を潜り抜け、名実ともに人々の記憶に残る最高のボクサーの一人として数えられるまでになりました。

そんな彼も、50代となり、最愛の妻エイドリアンにも先立たれ、息子とも疎遠気味

今は一人、亡き妻が残してくれたイタリア料理店『エイドリアンズのオーナーとして、かつての栄光を客達に語りながら、慎ましく毎日を生きるのみになっています。

そんな彼が、しかし、それでもなお燻り続けるボクシングへの情熱と執念を武器に、誰もが不可能だとささやく中、再びボクシング界に殴り込みをかけるのが、本作の物語です。

そしてそれは、立場や状況こそ違えど、一作目と全く同じ構図であり、これにより、ロッキーは再びのワンスアゲインを成し遂げ、『ロッキー』シリーズ全体が、非常に美しい円環構造となったわけです。

まさに、これ以上ない完結編(『クリード』以降は、ロッキーの物語ではないので)と言えるでしょう。

しかし本作は、そのエンドロールにおいて、さらにもう一歩先へと踏み出すのです。

 


エイドリアンからロッキーへ、ロッキーから我々へと繋がれた、勇気のバトン

『ロッキー』シリーズにおいてロッキーは、様々な人々の想いを背負い、そして、様々な人々の応援によって、何度も何度も不可能を可能にしてきました

しかし、言うまでもなく、その様々な人々の中で最も大きなものは、時に寄り添い、時には相反しながらも、しかし、最後には必ず献身的にロッキーを支え続けてくれた最愛の人、エイドリアンです。

ロッキーが起こしてきた数々の奇跡は、彼女なしには語れません。

ロッキーは、彼女からの想いを、声援を、愛を受け、強くなれたのです。

彼女の愛により勇気を奮い立たせたロッキーは、数多くの人々の記憶に残るボクサーとなりました。

そしてそれは、物語の中だけではないのです。

我々もまた、『ロッキー』という物語を観ることで、己の中に眠る勇気を奮い起こされたり、ワンスアゲインのための活力を得ることができた

そんな人々が、世界中にいるのです。

そんな、世界中に実在する、我々『ロッキー』ファンをもすら、物語内へと取り込んでしまうような、ある【壮大な仕掛け】が、本作のエンドロールには仕込まれています。

ロッキー・バルボアは、もちろん、物語上の人物です。

しかし、この仕掛けがあるからこそ、私は、胸を張ってこう言うことができます。

彼は実在した、と。

 


まとめ

というわけで、ロッキー・ザ・ファイナルのご紹介でした!

正直、クリード/チャンプを継ぐ男』も凄まじい傑作で、どちらを記事にしようか迷ったほどなのですが、しかし、エンドロールのあの仕掛け、『ロッキー』ほどの巨大なアイコンでなければ実現不可能なあの仕掛けの素晴らしさと、その仕掛けが生む、幸せな勇気のバトンパスに心底感動してしまったので、これは記事にせねばと思いました。

本当、『ロッキー』シリーズは、常に勇気をくれる最高のシリーズです。

きっと、これからも人生の節目節目で観返して、その度に同じ、そして、異なる感慨と感動を与えてくれるんだろうなぁ……。

ありがとう、ロッキー!!!

(記事を書くのにだいぶ時間がかかってしまったので、すごい季節のズレた記事になってしまいました汗 ごめんな罪!!)

 


※本日ご紹介した『ロッキー・ザ・ファイナル』は、2021/6/8現在、Amazonプライムビデオにて無料配信中です。っていうか、『ロッキー』『クリード』シリーズ全部無料配信中ですので、有無を言わさず一気観がオススメです!!(笑)

 


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