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最高の”ファミリー映画”『ワイルド・スピード/ICE BREAK』

どうも、とりふぁです。

本日ご紹介するのは、最高のファミリー映画……といっても、家族で楽しめるという意味ではなく、(広義の意味での)最高なファミリーが登場する映画という意味です(笑)

というわけで、『ワイルド・スピード』シリーズ8作目、ワイルド・スピード/ICE BREAK』のご紹介です!

 

※直接的な言及はなるべく避けますが、扱う内容が扱う内容なので、過去作についての若干のネタバレを含みます。その点にご留意した上でお読み頂ければ幸いです。

 

 

 

ワイルド・スピード/ICE BREAK』のあらすじ

数々の葛藤や事件、世界の危機までも乗り越え、強い絆で結ばれたファミリーを築き上げてきた【ドミニク・トレット】とその仲間達。

最強の敵、デッカード・ショウを倒したことで、ドミニクの兄弟分であるブライアンは引退し、平穏な世界へと去っていき、ドミニクや仲間達もまた、平和な時間を過ごしていた。

しかし、そんな彼らのもとに、またしても最大の脅威が忍び寄って来ていたのだった——。

「ドミニク。あなたの仲間達は、最強の相手を敵に回すことになるわ——あなた、よ」

 


レビュー

MCUと双璧をなす、ハリウッドのモンスターシリーズ

ワイルド・スピードシリーズは、2001年の一作目ワイルド・スピードから、2019年の外伝的な作品ワイルド・スピード/SUPER COMBO』まで、実に18年間9作品を世に送り出し、今年、10作目となるワイルド・スピード/JET BREAK』も公開されるという、押しも押されぬハリウッドのモンスターシリーズです。

考え方にもよりますが、今現在のハリウッドのメインストリームは、『アベンジャーズ』を擁するMCUシリーズと、この『ワイルド・スピード』(以下、ワイスピ)シリーズの二つと言っていいでしょう。

初期作品こそ、よくあるアンダーカバー(潜入捜査)モノやストリートレースモノらしい映画でしたが、近年ではその規模がどんどん拡大し、敵の規模(宇宙まではまだ行っていませんが笑)やその絵面まで、MCUと並び立つレベルになってきています。

また、物語の魅せ方も、ストーリーで持っていくというより、個々のキャラクター達の魅力で持っていくというところも、MCU的な魅せ方だと思いますね。

まぁ、要するに、MCUが好きなら、まず間違いなく『ワイスピ』にもハマる素養はありますよ! ってことです(笑)

 

 


シリーズ内で絶妙にジャンルをシフトして来た稀有な作品

さて、そんな『ワイスピ』シリーズなわけですが、観たことがない人や、シリーズの初期作品しか知らない人からすれば、「なんか、車の映画なんでしょ?」くらいの認識だと思います。

というか、私自身、各所で絶賛された7作目ワイルド・スピード/SKY MISSION』を観るためにシリーズを制覇するまでそのレベルでした(笑)

というか、正直、イメージだけでバカにしてもいました

なんていうか、こう、はっきり言って、「ヤンキー的な文化の人達が好む映画なんでしょ」くらいに舐めてました(別にヤンキーをバカにするつもりはないです。地元、茨城ですし(笑)そういう方面の知り合いもいますし。付き合ってみると面白いですよね)。

しかしながら、実際に観てみると、そういうノリなのはせいぜい3作目のワイルドスピードX3/TOKYO DRIFT』くらいまでで(いや、てかそもそもそういうノリでもなかったか?)、4作目は、(無理やり車を絡ませてくるけど笑)血湧き肉躍る犯罪アクション映画と化し、さらに5作目からは『ミッション・インポッシブル』もかくやというような、ケイパーモノ(チーム強奪映画)へと変化していくのです。

 

シリーズ作品の中でジャンルが変わってしまう作品というのはたまにありますが、このジャンルチェンジを意図的に行い、なおかつ、ここまで大成功させた作品は他にはありません。

そういう意味で、『ワイスピ』は稀有なシリーズと言えるでしょう。

ちなみに、このジャンルチェンジが成功した理由としては、個人的には、【一作目から既にサブストーリーとして機能していたケイパーモノの要素を、巧妙にメインへ持ってきたこと】にあると思います。

ただまぁ、それだけではここまでのモンスターシリーズにはなれなかったでしょう。

 


どいつもこいつもみんなファミリー!オールスター感演出がすごい

華麗なるジャンルチェンジを果たした5作目、ワイルド・スピード/MEGA MAX(ちなみに、個人的には現時点での最高傑作もこれだと思います)は、ジャンルチェンジしてみせるという離れ業の他に、実はもう一つトリッキーな演出がなされています。

それは、『ワイスピ』キャラクター達のオールスター化です。

どういうことかというと、それまでの『ワイスピ』が、基本的に別の場所で展開していた別の物語であったことを逆手に取り、それまでの登場キャラクター達を集めて、チームを結成させたのです。

これにより、それまで、ただのポッと出の登場人物に過ぎなかったキャラクター達を、一気にオールスターっぽくすることに成功しました(笑)

さらに、そこからのシリーズの伝統となっていく、豪華なゲスト俳優(しかも、MCU路線を絶妙に外した、映画好きが喜びそうな座組み多し!)の登場や、少年漫画的盛り上がりポイントでもある、【昨日の敵は今日の友】ストーリーテリングも功を奏し、シリーズは一気に軌道に乗ります。

 

 


一人の俳優の追悼演出として完璧だった7作目

しかし、順風満帆に見えたシリーズに、予想だにしない悲劇が訪れます。

それが、シリーズ1作目からの主人公である、ブライアン・オコナーを演じる俳優、ポール・ウォーカーの死

それも、7作目であるワイルド・スピード/SKY MISSION』撮影期間中の突然の事故死(それも、何の因果か、車での事故死……)ということで、シリーズ存続すら危うくなるタイミングでした。

そのため、7作目の撮影は途中でストップし、その物語は、大きく軌道修正されることになります。

様々な案が提案される中、結果として、キャスト、スタッフ達が選んだのは、既に撮影を終えていたポールのシーンはそのまま、未撮影だった部分を、カレル、コーディという彼の二人の弟達に演じさせた上で、CG処理によってポールの姿にするという離れ業。

さらに、作中でブライアンを戦いの一線から退かせ、穏やかな家庭へと帰すという脚本へと改変しました。

ポール・ウォーカーは亡くなってしまいましたが、この脚本改変により、彼の分身とも言えるブライアン・オコナーは、作品世界で静かに生きていくこととなったのです。

ワイルド・スピード/SKY MISSION』のラストシーンは、ブライアンがドミニクとは異なる道を走っていくという美しいショットと、その意味を考えるだに、まさに作中屈指の名シーンであり、そして、一人の俳優への素晴らしい追悼シーンとして、映画史に残るシーンだと言えるでしょう。

 

 


そして迎えた8作目

前置きが長くなりましたが、そんな紆余曲折を乗り越えて迎えたシリーズ8作目は、ブライアン無しでも『ワイスピ』ができるのか? という、非常にチャレンジングな一作となったわけですが、しかし今回も『ワイスピ』は『ワイスピ』らしい豪華な俳優陣と、またしてものジャンルチェンジで、この曲面を乗り切ってみせました

まず、俳優陣としては、今までのワイスピファミリーはもちろんのこと、前作で最強の敵として、たった一人でファミリーに立ち向かった男、デッカード・ショウ(ジェイソン・ステイサム!)も再び登場し、更には、デッカードとは別の意味で最強の敵、サイファ役として、シャーリーズ・セロンまでもが合流。

ドミニク役とヴィン・ディーゼルレティ役のミシェル・ロドリゲスホブス役のドウェイン・ジョンソンらと合わせ、映画ファン、それも、アクション映画ファンにとってはアベンジャーズも、かくやという豪華な座組みが実現しました。

特に、ドウェイン・ジョンソン演じるルーク・ホブスとジェイソン・ステイサム演じるデッカード・ショウとの相性が演技、アクション共に最高で、前回までのドミニクとブライアンのコンビに負けない魅力を放っています(あまりにも魅力的だったので、二人を主人公にした外伝ワイルド・スピード/SUPER COMBO』が制作されるほど)。

 

また、シャーリーズ・セロンは、さすがの演技力と存在感を遺憾無く発揮し、『ワイスピ』世界を影から操ってきた女というキャラクターに確かな説得力を持たせています。

『マッドマックス/怒りのデス・ロード』でもそうでしたが、ドッカンドッカンのド派手アクション超大作の中で、演技力一発で観る者の心を奪うシャーリーズ・セロンって、本当、THE女優というか、凄まじいです……!!!

 

そして、ジャンルチェンジについてですが、今回はジャンルチェンジというよりも、ジャンルの追加といった方がいいですかね?

つまり、ケイパーモノという骨組みはそのままに、新たな要素を付け足して来たのです。

それが何かというと、まさかの近未来SFモノ!!

今回の敵、サイファーは、世界を影から操ってきた凄腕ハッカーという設定なのですが、その設定を最大限に活かすためか、今回は、あらゆる車が電子制御され、遠隔操作(自動運転?)可能という設定をちゃっかり盛っているのです。

この設定により、中盤でサイファーが仕掛けるテロが、ちょっととんでもない絵面になっています……!!!

このシリーズを観てると毎度思うんですが、よくもまぁ毎回毎回、斬新な車の使い方を思いつくもんです(笑)

『TOP GEAR』(※)でもここまでやらんわ!!!

そのシーンおよびラストバトルの壮大さとバカバカしいケレンだけでも、本作を観る価値は十二分にあると思います(笑)

ブライアン=ポールがいないのは寂しいですが、「それでも俺達はやってやるぜ!」という気概に溢れた一作になっていると思います。

ちなみに、SF路線はこの後に公開されたワイルド・スピード/SUPER COMBO』でさらに拡大し、いよいよMCUとかターミネーターの領域に突入したなと思いました(笑)

普通の映画シリーズなら興醒めしちゃうところなんですけど、なんだろう、『ワイスピ』なら許せるというか、「いいぞ、もっとやれ!」って思ってしまうのは、多分、シリーズに通底する、いい意味で抜けのいいバカ感があるからでしょうね(笑)

今年公開予定の最新作の予告でも、他のシリーズでそれやられたら興醒めなんだけど……っていう要素がありましたが、やっぱり、なんか、「オールOK!」って思ってしまいました(『ワイスピ』に甘過ぎですかね?笑)。


※ 英国BBCの超人気車番組。真面目な車紹介だけでなく、車を使った、大掛かりな馬鹿馬鹿しい企画も人気。今現在も続いてはいるものの、番組の代名詞とも言える司会者三人組がいなくなってしまったため、どちらかといえば、彼ら三人が司会する、Amazonオリジナル番組『THE GRAND TOUR』の方が正統派続編の趣があるなぁと思っています。

 

 


まとめ

というわけで、ワイルド・スピード/ICE BREAK』のご紹介でした。

今回は、シリーズの振り返りが長くなってしまいましたが、とにかく、シリーズとしての魅力が凄い作品で、シリーズを重ねるごとに、ドンドン沼にハマっていってしまう魅力があります。

こういうところも、MCUに通じるものがありますね(笑)

しかし、個人的嗜好としては、MCUよりもこっちの方が好きです。

ヴィン・ディーゼルドウェイン・ジョンソンジェイソン・ステイサムという、カッコいいハゲ三人衆に加え、ミシェル・ロドリゲスカート・ラッセルトニー・ジャーシャーリーズ・セロンイドリス・エルバなど、映画好きなら「お!」と思うキャストが出てくる『ワイスピ』シリーズ。

これだけ豪華で、こんなにも面白いシリーズはなかなかありません

ワイルド・スピード』という馬鹿丸出しなタイトル(しかも、サブタイトルがまたバカっぽい! 完全に狙ってると思いますが笑)や、やたらと乱発されているというところから、ともすれば映画好きほど見逃しがちなシリーズな気がするのですが、なかなかどうして、そういう人達こそ観るべきシリーズになっています。

ワイルド・スピードX3/TOKYO DRIFT』という珍品も混じってはいますが、そこはなんとか乗り越えてもらうとして(笑)4作目、5作目を観る頃には、どっぷりと『ワイスピ』ワールドにハマること間違い無し

シリーズを追うのが大変と思うかもしれませんが、MCUに比べれば全然!

今ならたったの9作品ですから!!(笑)

この機会に、ぜひぜひ沼にハマってくださいませ。

さぁ、お前もファミリーだ!!!

 


おまけ(シリーズ順)

『ワイスピ』は、基本的にはナンバリングがされていないので、「どう追えばいいか分からん!」という方のためにシリーズ順を載せておきます。

ちなみに、原題もなかなか面白いことになっているので、併せて原題も載せておきますね(笑)


1作目ワイルド・スピード(The Fast and the Furious)』

2作目ワイルド・スピードX2(2 Fast 2 Furious)』

3作目ワイルド・スピードX3/TOKYO DRIFT(The Fast and the Furious : Tokyo Drift)』

4作目ワイルド・スピードMAX(Fast & Furious)』

5作目ワイルド・スピードMEGA MAX(Fast Five)』

6作目ワイルド・スピード/EURO MISSION(Fast & Furious 6)』

7作目ワイルド・スピード/SKY MISSION(Furious 7)』

8作目ワイルド・スピード/ICE BREAK(The Fate of the Furious)』

9作目(外伝)ワイルド・スピード/SUPER COMBO(Fast & Furious Presents : Hobbs & Shaw』

10作目(今年公開予定)ワイルド・スピード/JET BREAK(F9 : The Fast Saga)』

 

↑1作目から8作目までまとめてこのお値段は、なかなか魅力的。買っちゃいそう……。


※本日ご紹介した、『ワイルド・スピード/ICE BREAK』は、2020/3/9現在、アマゾンプライムで無料配信されてはいません。が、それ以前のシリーズは全作無料配信中です。この機会に、ぜひぜひご鑑賞下さい!

 

 


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