世界最強の諜報機関にたった一人で立ち向かった男の実話『ザ・◯◯◯◯◯レポート』
あけましておめでとうございます。
とりふぁです。
今年もよろしくお願いしますね。
年末年始は目一杯遊ばせてもらいましたので、本日からブログを再開しようと思います。
といっても、あいもかわらずのマイペースでやっていきますので、今後もゆる〜くお付き合いただければ幸いです(笑)
さて、新年一発目ですが、12月に観たアマゾンプライム対象作品が残っているので、そちらをご紹介します。
今回ご紹介するのは、アマゾンプライムオリジナル作品、『ザ・レポート』です。
ちなみに、本当は、『ザ・トーチャーレポート』なのですが、トーチャーの部分は演出的に削除されています。
トーチャーとは、拷問のことなわけですが、本作は9.11(説明不要とは思いますが、アメリカ同時多発テロのことです)以降、CIA主導により秘密裏に行われていた、テロリストへの拷問の是非について問うレポートを書き上げた男の実話です。
かなり地味で、シブめの作品ではありますが、なかなかどうして、素晴らしい一本でした。
『ザ・レポート』のあらすじ
アメリカ合衆国上院の調査員として働いていた男、ダニエル・J・ジョーンズ。
ある日、彼はCIAに関する調査プロジェクトのリーダーに任命される。
そのプロジェクトとは、CIAによる拘留、尋問に関しての調査だった。
調査を進めるうちに、CIAが『強化尋問』と呼ばれる尋問を行なっていたことが判明。
その内容は、紛れもない拷問だった。
かくして、CIAによって行われた拷問についての調査、そして告発を行おうとするダニエルであったが、それは同時に、世界最強の諜報機関との対決を意味していた——。
「報告書が完成するだけでなく、公表できる国でありたい」
世界最強の諜報機関にたった一人で挑んだ男
本作の主人公、ダニエルは実在の人物であり、もちろん、本作も脚色はあるものの、事実に基づく作品です。
その事実とは、CIAによって秘密裏に拷問が行われていたこと(※)と、それについて独自に調査を進め、その調査報告書を公表した男がいるということです。
CIAと言えば、もちろん、映画や小説、ドラマにゲームなど、数えきれないほどの作品にも登場する、名実ともに世界最強の諜報機関です。
そんなアンタッチャブルな相手に、単独(もちろん、完全に一人というわけではありませんが)で喧嘩を売り、のみならず、勝利してみせた男がいるわけです。
そんな映画のような話しが、実話であるということ、これがもう胸熱ですよね。
そして本作では、そんな男がどういう経緯で調査を進め、どんな妨害を受け、そして、いかに勝ったかということが、非常に淡々とした、クールなタッチで描かれていきます。
しかし、根底にあるのはダニエルという一人の男の静かなる情熱と、それを作品として昇華しようとするクルー達の情熱。
ゆえに、本作は静かで淡々とした作品ながら、その実、メラメラと燃え上がる炎、そう、青い炎のような印象を私は抱きました。
拷問の是非
そんな本作で、一つのポイントとなるのは、拷問の是非です。
もちろん、国際法上、拷問は認められていませんし、歴史を見ても、認められていいわけがありません。
しかしながら、その拷問によって得られた情報が、国家や国際社会にとって有益ならば、それは【拷問ではない】というエクスキューズを得られるのです。
そのため、CIAは拷問を【強化尋問技術】と呼び、そして、それによって得られた情報により、テロを未然に防ぐことができた、それだけでなく、ウサマ・ビン・ラディン殺害の糸口にもなったという成果(※)も示してみせます。
それが真実なのかどうか、イコール【教科尋問技術】が【拷問】なのかどうか。
それを、ダニエルは地道な調査の積み重ねによって確かめていくのです。
※ここら辺の事情(拷問の有無とそれによって得られた情報)については、本作中でも印象的に登場する、『ゼロ・ダーク・サーティ』でも描かれていましたね。
もっとも、本作は、そのさらに先にまで踏み込んでいきます。
今話題のアダム・ドライヴァー主演
ちなみに、本作の主演は、『スター・ウォーズ』新三部作(シークェル)のカイロ・レン役で話題のアダム・ドライヴァー。
実は彼の演技を観たのは初めて(スター・ウォーズはプリクェル以降観てなくて汗)だったのですが、なるほど、いい役者さんです。
正直、華があるタイプではないと思うのですが、その演技力と存在感は抜群ですね。
本作においては、強情なまでに自分の信念を貫き通すダニエルを熱演しているわけですが、頑として自らの意思を曲げない岩の如き演技は非常に素晴らしく、地味な作品ながら、グイグイと引き込まれてしまいました。
彼、間違いなくスター・ウォーズ以降も活躍しますね!!
まとめ
というわけで、『ザ・レポート』のご紹介でした。
非常に地味な作品ながら、極めて骨太かつ社会派な本作。
個人的には、たった一人でCIAに挑んだ男かいたということ自体知らなかったので、非常に勉強になった一本でもあります。
しかも、彼は勝っているのです。
一人の男の執念と信念が、大国の諜報機関を打ち負かした。
これは非常に熱い話しではありますが、同時に、アメリカという国の懐の深さというか、先進国の先進国たるゆえんを見た気もします。
もし、これと同じようなことが日本であったなら、そのレポートは、本作のように公正な手段によって世に出ることができるのでしょうか……?
国家を運営する上で、必ずしも正しいことばかりとはいかない。
あるいは、そこまで大きな話しでなくて、一般的な企業や、私たちの身の回りにもそうしたことは溢れているでしょう。
それは仕方のないことだと思います。
そこで大切なことは、それを揉せ消すことではなく、きちんと正しい手段でもってその事実を公表し、しっかりと歴史に残すこと。
そして、自浄作用によって正していくことだと私は思います。
こう言ってはなんですが、日本という国は、昔から、臭いものには蓋をしてしまえという文化が根付いています。
しかし、それでは真の発展は望めないのではないでしょうか?
様々な部門、分野で隠蔽による問題が取り沙汰されている昨今。
本作が訴えるメッセージは、深く深く、胸に突き刺さることと思います。
惜しむらくは、本作がアマゾンプライムオリジナル作品であるということ。
ここ数年で、Netflixが台頭してきて、著名な監督達が次々とNetflixオリジナル作品を手掛けていますが、なかなかどうして、アマゾンも負けていません。
正直、『アイリッシュ・マン』や『ローマ』、『6アンダーグラウンド』などの優れた作品が(基本的には)ネット配信のみで、ソフト化も望めないというのは、ちょっと寂しいのですが、ネット配信だからこその尖った魅力を持つ作品が今後も生まれてくると思うと、なんだかワクワクしますね。
今後も、面白いアマゾンプライムオリジナル作品があれば、ご紹介していこうと思います。
※今回ご紹介した『ザ・レポート』は、2020/1/6現在、アマゾンプライムビデオのみで、無料配信中です。