史上最高のクレしん映画!『クレヨンしんちゃん/ガチンコ!逆襲のロボとーちゃん』
どうも、とりふぁです。
最近、妻とハマっているのが、『クレヨンしんちゃん』の劇場版を観ることです。
もちろん、今までにも観ていたものはいくつかありますが、まだまだ未見のものもたくさんありますので、しばらくは楽しめそうです(笑)
さて、本日ご紹介するのは、そんな『クレヨンしんちゃん』映画の中でも突出して評価の高い作品の一つ、『クレヨンしんちゃん/ガチンコ!逆襲のロボとーちゃん』です。
これ、顔面崩壊レベルで号泣してしまいました……!!
『クレヨンしんちゃん/ガチンコ!逆襲のロボとーちゃん』のあらすじ
ご存知、最強の5歳児、野原しんのすけとその父、野原ひろしは、映画館で『カンタムロボ』の劇場版を鑑賞、興奮状態で劇場を後にする。
しかし、そのテンションのまま肩車をしたところで問題が発生。
しんのすけの勢いに、ひろしの腰が耐えきれず、ギックリ腰になってしまったのだ!
運が悪いことに、その日は日曜日で病院も開いていない。
失意の中、街を歩くひろしだったが、美人なお姉さんに声をかけられ、怪しいマッサージを受けることに。
マッサージ後、体の調子が異常なほどに軽快になったことに狂喜乱舞したひろしが家に帰り、鏡を見ると、そこにはロボットと化した自分の姿が映し出されていた——!!!
「どうだ? おめぇのとーちゃん、強ぇだろ?」
レビュー
劇場版『クレヨンしんちゃん』という油断ならない存在
『クレヨンしんちゃん』と言えば、もはや、日本人なら知らない人はいないといっても過言ではない、国民的アニメです。
基本的な内容としては、主人公である野原しんのすけが、ちょっとお下品なおとぼけギャグをかましつつ、楽しく過ごすナンセンスな日常を描いたもの。
ここでクレヨンしんちゃんがスゴいのは、そのナンセンスギャグアニメという強力なフォーマットを、時には活かし、時には逆手に取り、トラウマ級に恐ろしい話だったり、眼球が千切れるほど泣ける話だったり、頭がクラクラするほどの前衛芸術スレスレな表現だったりをぶっ込んでくるところです。
そして、そのチャレンジングな姿勢が全開になるのが、劇場版シリーズ。
クレヨンしんちゃんという基本フォーマットの中で、いかに遊ぶか、もっと言えば、実験するかというのが劇場版シリーズの肝となっています。
それゆえ、劇場版は作品ごとにその世界観やカラーがガラッと変わり、【笑える作品】【泣ける作品】【熱い作品】など、様々なタイプがあります。
また、様々な映画ネタを貪欲に取り込んでもいるので、映画ファンであればあるほど楽しめるシリーズにもなっていると思います。
それほどチャレンジングだったりマニアックだったりなことができるのも、クレヨンしんちゃんというフォーマットが強固だからこそ。
あまりにも強固なため、何をやっても崩れないのです。
だから、ぶっ飛んだチャレンジができる。
そんな劇場版『クレヨンしんちゃん』は、とにかく油断ならないシリーズなのです。
そしてもちろん、そんな中からは傑作も生まれます。
最も有名なのは、『クレヨンしんちゃん/嵐を呼ぶモーレツ!オトナ帝国の逆襲』と『クレヨンしんちゃん/嵐を呼ぶアッパレ!戦国大合戦』の二大巨頭でしょう。
この二本については、あまりにも傑作なため、もう既に各所で語り尽くされていますので、今回は割愛しますが、とにかくこの二本は素晴らしいです。
『クレヨンしんちゃん』や、アニメという枠を超えて、もはや映画史に残るレベルの作品ですので、もし未見の方がいれば、こちらもぜひぜひ、ご覧下さい。
※『オトナ帝国の逆襲』と『戦国大合戦』は映画としては本作より完成度が高いと思うのですが、ぶっちゃけ、『クレヨンしんちゃん』としては反則スレスレですし、なにより、物語的には野原一家がゲストキャラみたいな扱いなんですよね。それに対して本作は、ちゃんと野原一家の物語になっていますし、後述する【クレしんらしさ】をしっかり守ったうえで、これほどの完成度に達しているのが凄いという作品なんです。
検索して分かったのですが、この二本、というか、往年のクレしん映画はBlu-ray版がないんですね。
国民的人気シリーズが、現在のフォーマットで出ていないというのは、由々しき事態だと思います。
超豪華製作陣が結集し、【当てに行った】一本
さて、そんな油断ならないシリーズの中で、本作はどうなのかと言いますと……。
個人的には、上記した二本の傑作に匹敵するレベルの作品、いえ、【クレヨンしんちゃん映画として】は、上記二作品を超え、最高傑作だとすら思っています。(※)
それもそのはず、本作は、『クレヨンしんちゃん』のスペシャリスト達を結集させ、【当てるべくして当てた作品】なのですから!
まずは、監督、高橋渉さん。
テレビシリーズ・劇場版共に制作進行、制作助手、そして、演出助手などで『クレヨンしんちゃん』シリーズにずっと関わってきた方が、本作でついに、満を持してメイン監督として参加しています。
次に、脚本、中島かずきさん。
この方は、押しも押されぬ超人気劇団、【劇団☆新感線】(私も何度か観に行きました。本当、最高ですよ!)の座付き作家でありながら、近年では、『天元突破グレンラガン』や『キルラキル』、『プロメア』などのTRIGGER作品(グレンラガンはTRIGGERの前身となったGINAX時代の作品ですが)などの人気アニメ作品も手掛ける名脚本家ですが、実は、同時に、クレヨンしんちゃんとも関わりの深い方なのです。
というのも、中島かずきさんは、もともと、『クレヨンしんちゃん』の発行元である双葉社にて、『クレヨンしんちゃん』の原作者である、故・臼井儀人さんの担当者も務めていたのみならず、一時期は、劇場版『クレヨンしんちゃん』シリーズのチーフプロデューサーも務めていたんです。
そして、絵コンテは、なんとあの湯浅政明さんが担当!
近年では、『ピンポン THE ANIMATION』や『四畳半神話体系』、『DEVILMAN cry baby』などの監督として知られ、異常に情報量の多い、ぶっ飛んだ作画で知られるアニメ業界の大物の一人です。
この方も、もともとは『クレヨンしんちゃん』の原画や作画監督を担当しており、また、こちらも名作として名高い『クレヨンしんちゃん/ヘンダーランドの大冒険』(多分、自分と同世代でこの作品を観たことがない方は少ないのでは……?笑)の絵コンテも担当していました。
主にはこの三人ですが、その他、音楽や演出等も、業界きっての腕利きかつ、『クレヨンしんちゃん』との関わりの深い方ばかりを揃えて制作されたのが、本作なのです。
そして、その出来は、もちろん史上最高傑作レベル。
まさにこれは、【クレヨンしんちゃん映画】として、当てるべくして当てた傑作なのです。
もしも、ひろしがロボットになってしまったら? から始まるハードSF
本作の物語は、しんのすけの父、ひろしがロボットに改造されてしまうという、衝撃的な展開から始まります。
そこからしばらくは、ロボットになってしまったひろしの苦悩と活躍を、クレしんらしいナンセンスギャグたっぷりで描いていくわけですが、後半の【とある展開】からはその様相がガラッと変わり、物語は一気にハードSF的なテーマへと踏み込んでいくのです。
細かく書くとネタバレになってしまうのでそれは避けますが、ここで描かれるテーマや、登場人物達の思いを考えると、とても切なくなります。
そして迎えるラスト。
私は、顔面が崩れるほど号泣してしまいました……。
しかし、それだけなら本作は、『モーレツ!オトナ帝国の逆襲』や『アッパレ!戦国大合戦』と変わりません。
本作がすごいのは、そんなハードな設定や、大号泣展開を盛り込みつつも、最初から最後まで、キチンとクレヨンしんちゃんだったことなのです!
ナンセンスギャグに彩られたクレヨンしんちゃん的ストーリーテリング
クレヨンしんちゃんの肝、それは何かと問われれば、私個人としては、「ナンセンスなギャグだ!」と答えます。
そして、その上で本作は、キチンと、最初から最後までクレヨンしんちゃんであることを貫いたのです。
ひろしが、ロボットになってしまうという衝撃展開も、その後に待つとある展開も、そして、最終決戦まで、全てがナンセンスギャグのオンパレード!!
正直、ここまで笑った映画は久しぶりでした。
特に、最終決戦のバカバカしさと、トリップ描写スレスレの非常にドラッギーな描写には、本当に腹がよじれるほど笑わせられました(笑)
それほどまでに笑わせてくれる本作ですが、それだけでなく、そのナンセンスなギャグによってストーリーが展開し、さらには、クレヨンしんちゃんに、もともとある設定まで、物語の重要な局面に盛り込んでみせるのです!!
まさか、5歳児の口から発せられる、日本人なら誰もが日常的に口にするあの言葉が、あそこまでカッコよく響くだなんて……!!!
ここら辺は、中島かずき脚本の真骨頂ですね!
こういった、クレしんらしさを貫いてみせたというところで、個人的には最高傑作だと思った次第です。
まとめ
ということで、『クレヨンしんちゃん/ガチンコ!逆襲のロボとーちゃん』のご紹介でした。
物語の始まりから終わりまで、これでもか! と言うほどに笑わせられて、最後には、これでもか! というほどに泣かされる。
そして、観終わった後には優しい気持ちになれる。
もうね、ファミリー映画にこれ以上何か必要ですか?!
本作は、それほどの大傑作です。
のみならず、クレしんらしい、マニアックな小ネタも随所に挟まれる(特に今回はロボットアニメやロボット映画ネタが多めです)ので、まさに全方位的に隙のない作品に仕上がっていると思います。
そうでなくとも、あの衝撃のラストバトルは一見の価値あり!!
あんなのが思いつくなんて、一体、中島かずきさんは、どういう頭をしているんだろうか?! そして、それをああいう形で絵にしてみせる湯浅政明さんも、どういう頭をしているんだろうか?!
そして何より、こんなぶっ飛んだ大傑作を仕立て上げた高橋渉さんも、どんな頭をしているんだ?!
とにかく、天才達が大マジメにクレヨンしんちゃんを映画化したらこうなったという一作。
是非ともこの機会にご覧ください!!
※今回ご紹介した『クレヨンしんちゃん/ガチンコ!逆襲のロボとーちゃん』を始め、劇場版クレヨンしんちゃんシリーズは、2020/2/7現在、アマゾンプライムビデオにて、無料配信中です。
アマゾンオリジナルのクレヨンしんちゃんシリーズも必見ですよ!
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