原作愛×情熱×アイディア=『シティハンター THE MOVIE/史上最香のミッション』
どうも、とりふぁです。
皆さんには、自分の理想とするキャラクターっていますか?
自分は何人かいまして、1人は『TRIGUN』という漫画の主人公、ヴァッシュ・ザ・スタンピード、一人は『ルパン三世』の主人公、ルパン、そしてもう一人が、『シティハンター』の主人公、冴羽リョウ(漢字では【けもの辺に尞】と書くのですが、ご覧の環境によっては表示されなくなってしまうため、本記事ではカタカナで統一します)です。
三人の共通点と言えば、【普段はとぼけた三枚目、やるときゃ誰より真剣で(SEAMOさんの名曲、『ルパン・ザ・ファイヤー』より)】と言ったところですかね?
↑いずれ劣らぬ傑作です。特に『TRIGUN』は私の生涯ベストマンガですね!
『必殺』シリーズの中村主水や、『機動警察パトレイバー』の後藤隊長なんかも好きです。
昼行灯ですっとぼけたように見えて、実は誰よりも熱く、そして、誰よりもキレ者というような、そんなキャラクターに憧れます(笑)
↑カッコいい大人って、こういう人たちだと思います(笑)
そしておそらく、私の中ではじめてそういうキャラに憧れを持ったのは、ルパンか冴羽リョウのどちらかだと思います。
と言うのも、自分が子供の頃というのは、夕方、4時だか5時頃から、『ルパン三世』や『シティハンター』の再放送がやっていたり、年に一度くらいは、『金曜ロードショー』でテレビスペシャルが放映されていたりして、よく観てたんですよね。
自分が、正義のヒーローよりかは、ちょっとダークでダーティな汚れた英雄的主人公が活躍するような作品を好きになったのは、間違いなくこの影響で、どちらも、心の一本となっている作品です。
そんな心の一本のひとつ、『シティハンター』が、なんと、フランスで実写化され、しかも、原作愛が凄まじいということで、本日は『シティハンターTHE MOVIE/史上再香のミッション』をご紹介したいと思います!
『シティハンターTHE MOVIE/史上最香のミッション』のあらすじ
ご存知、凄腕の掃除屋(スイーパー)にして、大のもっこりハンターである冴羽リョウと、その相棒兼同居人の槇村香は、シティハンターとして、今日も新宿……ではなく、パリの裏社会を渡り歩き、もう後がない依頼人達を救う最後の砦として活躍していた。
そんな二人の下に、ある日、ドミニク・ルテリエと名乗る科学者から、【嗅いだ者を虜にする香水】を守って欲しいとの依頼が舞い込む。
半信半疑の二人だったが、実際にその香水を嗅がされたリョウは、持ち味であるもっこりちゃんへの興味が薄まり、ただのオッサンであるルテリエに惚れてしまう。
それでもまだ依頼を受けることを渋るリョウだったが、何者かが突如として香水を奪い、逃走。
そして、「48時間以内に解毒しなければ、効果は永遠に続く」と告げられたリョウは、もっこり消失の恐怖から、なし崩し的に香水を奪還するハメになる。
しかし、その香水を奪った何者かは、因縁の敵である海坊主こと、最強の殺し屋ファルコンだった——。
「お前のことは、相棒以上に大事に思ってる。お前は俺の大事な——」
レビュー
国民的大人気漫画『シティハンター』
本作の原作は、北条司による傑作ハードボイルド(?)漫画『シティハンター』です。
元傭兵の冴羽リョウと、彼の相棒、槇村秀幸が【シティハンター】として、法で裁けぬ悪を人知れず始末していた最中、麻薬組織により秀幸が殺されてしまい、その代わりに、彼の義理の妹である香が新たな相棒となり、さらに活躍の幅を広げて行くというような物語でした。
しかし、特筆すべきは愛すべきキャラクター達で、レギュラーメンバーである冴羽リョウ、槇村香、海坊主、野上冴子らのキャラクター性や、関係性こそが、本作の人気を決定づけたと個人的には思っています。
中でも、真面目にしてればクールなイケメンで、戦闘技術も世界No. 1と言われるほどの男であるにも関わらず、普段は女性とのもっこりにしか興味がないリョウと、そんな彼を疎ましく思いつつ、しかし同時に惹かれてもいる香とのボケとツッコミのようなやりとりと、すれ違うばかりの歯痒く甘酸っぱい関係は、本作における一番の魅力でしょう。
そんな本作は、過去に4度もテレビアニメ化され、更にはテレビスペシャルや映画も何本も作られるという人気ぶりで、80年代後半から00年代手前までは、まさに国民的漫画・アニメの代表格といって差し支えない存在でした。
その後も、設定を引き継ぎ、シティハンターの後の世界を描きつつも、続編というよりはパラレルワールドの物語として描かれた『エンジェル・ハート』が連載され、アニメ化および実写ドラマ化されたりもしていました。
↑シティハンターの続編的パラレル作品。こちらもオススメです。
そんな『シティハンター』は海外でも人気で、各国版の単行本が発刊されており、また、アニメ版も輸出されていました。
まさに、世界に誇れる国民的作品ですね。
(ちなみに、執筆時点で私はまだ観れていませんが、本作の日本公開年である2019年には、アニメ版20年ぶりの新作『劇場版シティハンター/新宿プライベート・アイズ』も公開されています)
↑まさかまさかの20年ぶり新作! 評判もいいみたいですね。
フィリップ・ラショーの情熱が生んだ実写版
そんな人気な『シティハンター』なので、本作以前にもいくつか実写映画版が存在しています。
中でも有名なのは、ジャッキー・チェン主演による1993年版でしょう。
私自身も、子供の頃は何度も何度も繰り返して観ていました。
もっとも、よくよく考えてみると、一体全体『シティハンター』の何をどうしたらこうなるんだっていうくらい、ただのジャッキー映画なのですが(笑)
↑今となっては歴史的珍作の一本でしょう(汗)ジャッキーによる春麗コスプレがインパクト大です(笑)
そこへ来ると本作は、やっとできた【本当の実写版シティハンター】と言える出来になっていると思います。
というのも、本作の監督・脚本・主演まで務めているフィリップ・ラショーが、子供の頃からの大の『シティハンター』ファンであり、本当にただただ純粋に『シティハンター』をやってみたいと夢に見ていた人物だったからです。
フィリップ・ラショーは、フランスでは人気の俳優兼監督で、主にコメディ作品を手掛けてきた人物です。
そんな彼が、『アリバイ・ドットコム/カンヌの不倫旅行がヒャッハー!大騒動になった件』(ヒデェ邦題w)がヒットしたことで、「次、何やりたい?」と、ある程度企画を自由に考えられるようになり、それならば、と温めてあった本作のアイディアを北条司先生ご本人に送ったところ、「この手があったか!」と太鼓判を押され、愛でたく企画始動となったのだとか。
↑フィリップ・ラショー作品は、邦題に「ヒャッハー!」が付くみたいですね(笑)今度、全て観てみるつもりです。
ちなみに、北条司先生が「この手があったか!」と唸ったのは、本作の起点となる【リョウが男性に恋をしてしまう】というところ。
確かに、リョウ=もっこりと考えると、最大の危機はもっこり出来なくなることですからね……(笑)
話が逸れましたが、企画が通って以後、フィリップ・ラショーは、原作の漫画とアニメを全ておさらいし、リョウの仕草を完コピした上に、体重を8kg増やす肉体改造までして撮影に臨みました。
その甲斐あって、一目で「あ、これはリョウだわ……!」と納得させられるクオリティに達しています!
細部まで徹底された『シティハンター』らしさ
そこまでしてしまうほどの『シティハンター』ファンであるフィリップ・ラショーが手がけただけあって、本作は、細部の細部に至るまで、【『シティハンター』らしさ】が溢れています。
まずは、主人公達のビジュアル。
正直、冴子はちょっと違います(でも、言いたいことは分かる笑)が、リョウ、香、そしてなんと言っても海坊主の再現度はちょっとどうかしてるレベルです(笑)(贅沢を言えば、海坊主はもうひと回りふた回りゴツいと完璧でしたが)
また、あの名物100tハンマーを無理なく登場させたり、リョウの私物から女性モノの下着が出てきたり、リョウと海坊主が遮蔽物越しに銃を言い当てたり、果ては、とぼけたシーンでカラスが飛んだりと、原作好きからすれば「あったあった!!」のオンパレード(笑)
さらに秀逸なのが音楽演出で、なんと、いくつかの楽曲はアニメ版のものをそのまま使用しており、「な、なつい!!!!!」となること請け合いです。
とはいえ、本作の音楽演出で最も上がるのは、やっぱり最後に流れる【あの曲】と、その【流れるタイミング】です。
あのちょっと喰い気味で流れ始める超有名イントロで締められたら、それはもうブチ上がるしかありません。……悔しい(笑)
しかし、本作で徹底されている『シティハンター』らしさは、こうした単なるギミックだけではなく、『シティハンター』の根底にある本質、つまりは【リョウと香のラブストーリー】であるというところまでしっかり押さえているのです。
クライマックスからのあの展開をやられてしまっては、そりゃもうファンとしては全面降伏するしかないです……圧倒的感謝!!!
まとめ
というわけで、『シティハンターTHE MOVIE/史上最香のミッション』のご紹介でした。
ファンムービーとしての側面が大きな一作ではありますが、『シティハンター』のことはそこまで知らないうちの妻も、終始爆笑かつご満悦で観れたくらい、アクションコメディ映画として秀逸なので、おそらく、『シティハンター』を知らないでも楽しめる一本になっているとは思います(そのうえで、シティハンターを知っていると、色々とさらに関心させられるのがまた凄い)。
『ジョニー・イングリッシュ』シリーズや、『ゲットスマート』あたりのナンセンスなコメディアクションが好きなら、まず間違いなくハマれるんじゃないでしょうか?(笑)
また、アクションシーンも結構頑張っていて、中盤のワンカットでの主観アクションシーンの素晴らしさや、後半のある場面で入る少しトリッキーなカメラアングルなど、映画としても手を抜いてないことが伝わる本作。
おそらく、製作費はそこまでかかってはいないと思われるのですが、そこを情熱とアイディアの一点突破でやりきっている、愛すべき一作だと思いますので、ぜひ、機会があればご覧ください!!
XYZ!!!
最高の映画メディア、『MIHOシネマ』さんでも本作をチェック!↓