ビジョンを持つことの大切さ——『スカーフェイス』
どうも、とりふぁです。
唐突ですが、お金、好きですか?
私は大好きです!!(笑)
お金って、あればあるほど自由が増えると思うんですよね。
だから、あるにこしたことはないと思います。
しかしながら、お金があればそれでいいのか? というと、それは違うのかなと。
大切なのは、そのお金で何をしたいかという、目標や夢であって、お金は、あくまでもそのための手段に過ぎません。
そこのところを履き違えると、人生、道を踏み外してしまいます……。
ということで、本日ご紹介する『スカーフェイス』は、そこのところを履き違えた男の成り上がり譚です。
(いつものことながら、明言は避けますが、物語のテーマ上、結末が分かってしまうレビューになっていると思います。そうしたものが嫌な方は、ぜひ、観終わってからまた読みに来て下さると嬉しいです。さすがに、語り継がれているだけはある名作ですので!)
『スカーフェイス』のあらすじ
1980年台初頭のアメリカに、一人の男がやって来る。
彼の名はアントニオ・モンタナ。通称、トニー。
革命後のキューバで、反カストロの烙印を押され、国を追われた者の一人だ。
持たざる者として海を渡った彼であったが、ここはアメリカ。
自由とカネの国。
腕っぷしと、ちょっとした運だけで成り上がることもできる国。
今、彼の栄光と破滅の日々が始まる——。
“Say hello to my little friend !!”
レビュー
・アメリカン・ギャングスタ達のアイコン、トニー・モンタナ
本作最大の魅力は、なんといっても、マフィア映画の代名詞とも言える名優の一人、アル・パチーノの名演を、これでもか、これでもかと堪能できるところでしょう。
本作で彼が演じるのは、ただの亡命者から、一躍、暗黒街の顔役にまで成り上がった男、トニー・モンタナ。
暴力とカネと虚栄心の塊という、強烈ながら空虚な彼のキャラクターとその生き様は、長らく、アメリカの持たざる者達のアイコンとなっています。
実際に作品を観てみると、それも納得と言わざるを得ない熱演っぷりで、完全にそういう人にしか見えません……!!!
特に、なまりになまったキューバなまりの英語のいなたさはたまらないですね(笑)
そんな彼が主人公として、縦横無尽に立ち回るのですから、その魅力たるや筆舌に尽くしがたいものがあります。
しかしながら、そこまで魅力的なキャラクターであるにも関わらず、本作における彼の役どころは、結局のところ、ピエロでありマリオネットでしかないのです。
どんなに成り上がっても、結局、上には上がいる。
この無常感、やるせなさこそが、アメリカン・ギャングスタ達が自己投影してしまう理由かもしれませんね……。
・カネ=夢ではない
本作は、持たざる者だったトニー・モンタナが持ち前の暴力のスキルと、少しの運で成り上がっていく物語です。
しかしながら、その結末は、非常に悲劇的で、言ってしまえば、こんな目にはあいたくないというようなことのオンパレードです。
なぜそんなことになってしまったのかというと、私個人としては、トニーに目標や夢がなかったから、だと思うのです。
本作でトニーは、ビッグになるために、カネを集めるために次々と危ない橋に飛び付いていきます。
しかしながら、彼にはその先がない。
つまり、ビッグになり、カネを得て、何をするのか、何がしたいのかというビジョンがないのです。
だから、彼は成り上がりきったあと、その地位とカネを守ることだけに執着し、その空っぽな人間性を露呈させ、最終的には破滅していくことになるわけです。
またそれは、恋愛についてもそうで、理想の女性を見つけ、手に入れたものの、彼にはやはりその先がない。
ただ、その女性を手に入れたいというだけで、その女性とどう過ごしたいのかというビジョンが全くないのです。(中高生くらいは、こういう恋愛観の方も多いのでは? 大切なのは、「恋人欲し〜!」ではなくて、その恋人とどう過ごしたいかですよ!!笑)
彼は一時が万事そういった具合で、手に入れたいものはたくさんあるものの、手に入れたあとのビジョンがないために、何も成し遂げることもないのです。
カネも恋人も夢ではないのです。
それらは全て手段に過ぎず、夢や目標はその先にあるのです。
まとめ
ということで、『スカーフェイス』のご紹介でした。
今回は、本作を観て考えたことが多めの内容になりましたね。
本作は、「欲しい」という、人間ならば誰でも持つ欲を強烈に描くことで、同じく「欲しい」という欲によって成り立っている【資本主義】という化け物を批判的に描いた作品だと思います。
この化け物は非常に強力で、時に我々を後押ししてくれますが、同時に、我々を滅ぼしもします。
そこで大切なのは、いかにビジョンを持つか。
欲しいモノを手に入れたあと、それをどうするのか、どうしたいのかということです。
繰り返しになりますが、カネ(その他手に入るモノ全て)は夢や目標ではありません。
大切なのは、それで何をするのかなのです。
本作は、そんなことを考えさせられる名作でした……!!
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