青春系音楽映画の傑作『Sing Street/未来へのうた』
どうも、とりふぁです。
実は私、ちょこっとだけバンドをやってたことがあるんです。
本当、ちょこっとだけなんですけど。
中学の時につるんでた友達二人が音楽好きで、「学園祭でバンドやろうぜ!」って話になって。
その友達二人が、ギターヴォーカルとキーボードで、幼馴染みのドラム持ってる子にドラムやってもらって、私は、友達にならいながらベースやって。
やったのは、モンパチことモンゴル800のカバー。
学園祭のテーマが、男女逆転的なのだったから、それぞれ、男装女装して。
私は、不思議の国のアリスのドレスに、ウサミミつけてたな(笑)
今思えば、本番の演奏なんて誰も聴いてなかったと思うんだけど、そんなことはどうでもよくて、とにかく、みんなでステージの上で演奏できてるってのが最高だった。
もっと言えば、その本番のために練習するのこそ、もっと楽しかったな。
放課後に楽器持ち寄って教室で練習したり、ドラムの子の家に集まって練習したり。
練習の後には、駅前のヨーカドーの下にあったポッポってお店で山盛りポテト食べたりして。
なんでもないけど、今振り返ると、かけがえのない時間だったなぁと思います。
な〜んて、自分語りが過ぎてしまいました(^◇^;)
なぜ、こんなことになっているかというと、今回ご紹介する『Sing Street/未来へのうた』という作品が、そういった音楽絡みの青春時代を強烈に思い出させる作品だったからに他なりません。
世界中の【兄弟たち】を【あの頃】へと強烈に誘う作品、それが『Sing Street/未来へのうた』なのです!
『Sing Street/未来へのうた』のあらすじ
1985年のダブリン。
15歳の少年、コナーの一家は、不況のあおりをうけ、父が失業し、家庭は崩壊寸前だった。
コナー自身も、その影響で元々通っていた学校から、学費の安い学校へと転校を余儀なくされる。
その学校は、校長が非常に高圧的で、生徒同士の喧嘩やいじめも日常茶飯事な、まさに最悪の学校だった。
しかし、そんな中で、彼に運命の出会いが訪れる。
そして始まる、音楽と青春の日々。
これは、その日々を切り取った、短いけれど、かけがえのない時間についての物語——。
「僕のバンドのミュージック・ビデオに出てみない?」
レビュー
・音楽が生まれる瞬間の喜び
本作は、とにかくもうその全てが愛おしいわけですが、なかでも私がもっとも愛おしかったのが、【音が音楽になるまさにその瞬間の喜び】がしっかり切り取られているところです。
曲のイメージを聞いて、楽器できるやつが「こんな感じ?」ってポロンって弾き出して、「いいね。もっと、こうできる?」「こう?」「そうそう! 歌、合わせてみよっか」からの、音楽できたあああああ!! な感じがたまらない。
コレ、本格的に音楽やったことある人だけじゃなく、自分みたいに、遊びでちょこっとやっただけの人でも実感して「うおおおお!!」ってなる瞬間だと思うんですよ。
その「うおおおお!!」な感じがきっちり、そして、素晴らしいクオリティで再現されているのが最高過ぎて……。
『ハイスクール・ミュージカル』とか『スクール・オブ・ロック』とか、『ボヘミアン・ラプソディ』もそうだけど、この【音が音楽になる瞬間の喜び】が切り取れているかどうかが、音楽をテーマとする映画における最も重要なシーンだと思うんですよね。
その点で、本作は完璧。
捻りを加えたちょっと面白い撮り方も合わせて、本当に素晴らしかった……!
その他にも、ミュージック・ビデオを撮って出来上がった時の「ッポクね? これ、かなりッポクね?!」な感じとか、本当、創作する喜びってそこだよねっていうところも愛おしくて……最高!!
・主人公が夢を叶える一方で
創作する喜びや、自分を表現することでドンドン輝いていく主人公達がとにかく愛おしい本作なわけですが、でも、個人的に最も感情移入してしまうというか、本作の本当の主人公は別にいるかなとも思っていて。
それは誰かと言えば、ちょっと乱暴ながら、常に主人公を支え導いてくれる主人公の兄なんですが。
彼は、多分、音楽で生きていきたかった人なんだけど、家庭の事情やら何やらで、それらを全部諦めてきた人なんですよね。
で、主人公はそんな兄を尊敬しながらも、どこかで少し甘く見てもいるというか、兄貴ってこんなもんでしょって思っているところがあるというか。
実際のところは兄貴がいるからこそ今の自分があるわけで、でも、弟はそこのところを今ひとつ理解できていない。
この兄弟の関係性がすごくリアル。
実は、自分にも少し歳の離れた兄がいまして、言ってしまえば、自分は完全に主人公側の人間なんですよね。
兄のことは大好きで、尊敬もしているんだけど、同時に、近くにいるからこそ軽んじてしまうというこの関係性、めちゃくちゃ実感するわけです。
そして時に軽率な言動で兄を怒らせてしまう。
なんてリアル。
そして、それでも兄は弟を最大限理解し、夢を弟に託す。
それは、世間的には間違ったことかもしれないけれど、でも、何度も何度も折れてきた兄だからこそ、弟の背中を押せる。
そんな兄の姿には、涙するしかなかった……。
まとめ
そんなわけで、『Sing Street/未来へのうた』のご紹介でした。
本当は、不良くんに対するアレ最高とか、次々と色んなアーティストに影響されるの可愛すぎとか、楽器できる彼のいい奴っぷりとか、そもそも楽曲のレベルが凄まじいとか、他にもたくさんたくさん語りたいところがあるのですが、ただのネタバレキャッキャ記事になりかねないので我慢しておきます(笑)
とにかく、音楽の素晴らしさはもちろん、少なからず【創作する喜び】を知っている方には絶対に刺さる作品だと思います。
そして、兄弟モノとしても、ちょっと他の作品では感じたことのないレベルの共感を得た作品だったので、兄弟という、素晴らしくもややこしい関係の尊さを覗き見るのにもオススメな一本です。
とにかく全てが最高で、私の人生の一本になりました……!!!
※今回ご紹介した『Sing Street/未来へのうた』は、2020/4/3現在、Amazonプライムビデオにて無料配信中です。
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