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心に残った映画や海外ドラマの備忘録です。Amazonプライムが主になるかと。

刑事ドラマ最高傑作『TRUE DETECTIVE』

どうも、とりふぁです。

世間のご多分にもれず、私も在宅勤務&外出自粛中です……。

といっても、もともと家が好きな人なので、実はそんなに変わらないのですがσ(^_^;)

さて、今回はこんな時だからこそ楽しめる海外ドラマのご紹介です。

海外ドラマと言っても、「何シーズンもあって終わらない!」という類ではなく、1シーズン8話でスパッと終わり、なおかつ濃厚な物語体験が出来る作品なので、「海外ドラマは長くてちょっと……」という方にもオススメですよ!!

というわけで、『TRUE DETECTIVE/二人の刑事』のご紹介です!

 

 


『TRUE DETECTIVE/二人の刑事』のあらすじ

1995年、ルイジアナ州の片田舎で猟奇的な殺人事件が発生。

被害者は若い女性。遺体は全裸で、手足に縛られた跡があり、腹部には複数の浅い刺し傷。

薬物を投与され、性交の形跡もある。しかし、何よりも異常なのは、頭部に王冠の如く被せられた鹿の角と、背中に描かれた円のシンボル

そして、現場に残されていた木の枝で作られたオブジェ

捜査に駆り出されたマーティとコールは、紆余曲折ありながらも、地道な捜査と壮絶な銃撃戦の末、犯人を射殺し、事件は解決。

二人は地元警察の英雄として語られることとなった。

——時は流れ2012年。

互いに警察を辞めていた二人の元へ、ハリケーン"カトリーナ"によって紛失してしまった事件の概要を知りたいと捜査官がやってくる。

別々に行われた事情聴取で語られる、解決済みの事件の話。

その事情聴取の最中、捜査官が【現在捜査中】だという一枚の写真を撮り出す。

そこには、1995年の事件と非常によく似た手口で殺害された女性の遺体が写されていた――。

「同一犯なわけがない。95年に逮捕していたならな」

 

「あんたなら知ってるかと」

 

「――さっさと聞きたいことを聞けよ」

 


レビュー

マシュー・マコノヒーが惚れ込んだ最高の脚本

本作の魅力の一つは、なんといっても【8時間の映画】とも評されるほどの濃厚かつ完成度の高い脚本にあります。

内容としては、2012年の時点から、別個の場所で行われた二人の刑事への取り調べにより、【既に解決済みの1995年の事件】を振り返るという形式で進んでいく本作。

しかしながら、なんと、第1話の最後で【同一の手口による新たな被害者】が登場するという強烈なツイストが加わり、さらには、取り調べを受ける二人の刑事の証言も食い違ってきたりして、いわゆる【信用できない語り手】によるグラグラ感をこれでもかと体験できます。

その後も、時制が行ったり来たりしつつ、現在と過去の事件を追っていくことになるのですが、その事件自体も、なんとも掴みどころがなく(何せ、一度はキチンと解決しているわけですからね)、まさに物語の舞台であるルイジアナの湿地帯のような、ヌメッとした嫌らしさがついて回ります。

本作の主演であるマシュー・マコノヒーは、映画畑の人間でありながら、本作の脚本に大層惚れこみ、彼が現状、唯一出演した連続ドラマであるというところからも、その脚本の完成度の高さがうかがい知れるかと思います。

 


マシュー・マコノヒーウディ・ハレルソンの掛け合いに痺れる

そんな見事な脚本で魅せる本作でありますが、個人的な最大の魅力は、マシュー・マコノヒーウディ・ハレルソンという、確かな演技力を持つ二人の名優が主演したことによる、掛け合いの見事さだと思います。

常に斜に構え、超然とした態度の世捨て人なコール(マシュー・マコノヒー)と、直情型で人間味あふれるマーティンとの、時に兄弟の如く息ピッタリな、そして、時には危ういほどにすれ違う二人の演技合戦は、まさに全編が見どころと言わんばかりの素晴らしさ!!

特に、マシュー演じるコールは、近年観た、映画ドラマ含め、どの作品のどのキャラクターよりもカッコイイと感じました。

「人類は滅亡すべきだ」と、全く疑いもなく信じている世捨て人っぷりに、一欠片の生気も感じさせない眼差し。

それでいて、この男の信念は絶対に折れないのだという、どうしようもないほどの強さを感じさせるという離れ技を難なくこなしているマシューの演技には舌を巻きます。

アレは惚れるしかない……!(笑)

そして、そんな、人生の全てに絶望しているような彼が、なぜこの事件に狂気的なまでに執着し、情念を燃やすのか。

そこも本作の見どころであり、泣きどころです。

とにかくマシューがカッコイイ

奥さん、これだけは覚えて帰ってください(え

 


監督は『007/NO TIME TO DIE』のキャリー・フクナガ

さて、そんな本作の監督ですが、なんと、今年一番の話題作と言ってもいい『007』シリーズ最新作、『007/NO TIME TO DIE』(公開延期が残念ですが、楽しみが伸びたと思って乗り切りましょう!)でメガホンを取ったキャリー・フクナガです。

ご本人がボンドできるんじゃないのってくらいのイケオジとしても知られる彼ですが、その監督としての手腕も見事なもの。

というか、『007』の大抜擢には、まず間違いなく本作での手腕が認められてのものだと思います。

特に第4話『潜入』で見せた、警察とギャングが壮絶な撃ち合いをする最中、そのどちらにもバレないようにギャングの一人を拐うという非常に複雑なシーンを、結構な尺のワンシーンワンカットで臨場感たっぷりに撮りきってみせたのは、まさに神業

場面的にも撮影技術的にもあそこまでスリリングなシーンは、映画でもなかなか見れるものではありません……!

さらには、最終話にて主人公が突入することになる場所の禍々しさや、そこで目にする、とある光景の凄まじさなども、空気まで感じられる生々しさで映像に焼き付けられており、見事としか言いようがありません。

この凄まじいまでの手腕とセンスで彩られた8時間というだけでも、本作は唯一無二の傑作と言えるでしょう。

 


まとめ

というわけで『TRUE DETECTIVE/二人の刑事』のご紹介でした!

映画、ドラマ含めても、ここまで濃密かつ完成度の高い刑事モノはなかなかないので、刑事モノが好きな人にもオススメです。

正直、事件があまりにも根が深いため、かなり後半に行くまで『ボーダーライン』の前半を延々とみせられているような、掴めそうで掴めない気持ち悪さがつきまとうのですが、そんな中でも、マシューとウディという二人の名演が光りに光りまくっているので、いつの間にか、観ているこちら側まで底無し沼のような事件にずっぽりとはめられてしまうことになります(笑)

 

じっくり自宅で過ごすこの機会、名優達と共に、捜査という名の地獄巡りに旅立ってみては……?

(ちなみに、『TRUE DETECTIVE』自体は現在第3シーズンまで存在していますが、それぞれは完全に独立した物語です。そして、今回ご紹介した本作は、その第1シーズンに当たります)

 


※今回ご紹介した『TRUE DETECTIVE/二人の刑事』は2020/4/24現在、アマゾンプライムビデオにて無料配信中です。