【生涯ベストを語る】第一回『ダイ・ハード』
あなたの生涯ベスト映画はなんですか?
そんなことを聞かれても、一本には絞れませんよね。
もちろん、私もそうです。
映画が好きならば好きなほど、「生涯ベスト級!!」と叫びたくなる映画はたくさんあると思います。
このカテゴリでは、そんな私の生涯ベスト級作品を紹介していきます。
普段はなかなか紹介しないような、直球ド真ん中の作品が多くなるかもしれませんが、お楽しみ頂ければ幸いです。
さて、第1回は、直球も直球、『ダイ・ハード』です。
『ダイ・ハード/DIE HARD』のあらすじ
NY市警の刑事、ジョン・マクレーンは、別居中の妻、ホリーの勤務先で行われるクリスマスパーティに参加するため、LAへやって来た。
久々の夫婦の再会となるはずのクリスマスパーティはしかし、武装テロリストの強襲により、血塗れのブラッドパーティと化す。
しかして、ハイテク機器に守られた超高層ビルの中、マクレーンはたった一人、孤立無援の戦いを強いられることになる。
そしてこれが、のちに【世界一不幸な男】と呼ばれる男の、伝説の始まりだった——。
「”Yippee ki-yay, mother fucker!!”(イピカイエー、糞ッタレ!!)」
レビュー
イピカイエー!!
と、いうわけで、今更紹介するまでもない大大大傑作、『ダイ・ハード』のご紹介です!
本作の北米公開は1988年。これは、私の生まれた年でもあります。
なんだか、運命的なものを感じてしまいますね(笑)
今回は、本作の魅力を紹介しつつ、いかに私が『ダイ・ハード』シリーズを。ひいては、ジョン・マクレーンという漢(オトコ)を愛しているかということを書いていこうと思います。
アクション映画の潮流を変えた
『ダイ・ハード』を語る上で、まず最初に触れておきたいのが、この話題です。
今でこそ、「イエス! 脳筋馬鹿映画!!」と言われるような作品の一つとして観られがちな本シリーズですが、少なくとも一作目は、そんな映画じゃないんです。
寧ろ、そうした潮流のカウンターとして登場し、【映画として非常にしっかり】作られていて、なおかつ、きっちりヒットしたからこそ、『ダイ・ハード』は名作、傑作と呼ばれているのです(同じ年に『ランボー3/怒りのアフガン』が公開されているというのもまた、象徴的ですね。とはいえ、ランボーも、脳筋馬鹿映画なのは2と3だけですが)。
そもそも、本作の主人公、ジョン・マクレーンはナム帰りの元グリーンベレーでもなければ、未来から来た殺人マシーンでもありません、ちょっと乱暴なだけの、ただの刑事です。
体型もキレッキレのガチムチマッチョではなく、ただの鍛えているオッサンレベル。
そんな彼が、ベレッタ一丁片手に、完全武装のテロリストと戦うハメになるわけです。
頼れる武器は己の頭脳のみ。
だからこそ彼は、たった一人で戦うのではなく、なんとか外部に状況を知らせることを第一目標として行動します。
しかし、なかなか上手くいかず、さらに、テロリストのリーダーであるハンスもまた頭脳犯であるため、やっと来たSWATですら手玉にとってしまいます。
結果として、助けを待つだけでよかったはずのマクレーンは、たった一人でテロリストを殲滅するという無理難題をせざるを得なくなっていくのです。
この流れの秀逸さと、様々な伏線やサブストーリーとが相まって、本作は、最初から最後まで全く飽きることなく観れてしまうのです。
そんな、しっかりとした脚本上の流れの中で、物語的必然性を持って展開する無茶で派手なアクション。
クリスマスパーティに出るためにLA行きの飛行機に乗った男が、数時間後には、爆発する超高層ビルの屋上から飛び降りるハメになっている。しかし、そんな馬鹿な状況には、確かな必然性がある。
これこそが、『ダイ・ハード』の真髄です。
そして、その無類の面白さは映画界全体全体に波及し、『ホワイト・アウト(言うまでもなく、織田裕二主演の方です)』や『エンド・オブ・ホワイトハウス』のような『ダイ・ハード』フォロワーとも言える作品が数多く作られることになるのです(上手くいっているかどうかは別として)。
もし、私と同世代や、それより若い方で、「どうせ、80年代の筋肉馬鹿映画でしょ?」と思ってスルーしていた方は、是非とも、一作目だけでも観てみて下さい。
絶対に損はさせません。
ジョン・マクレーンという漢(おとこ)
まだまだ一作目について語りたいところではありますし、実際、いくらでも語れるわけですが、ここまででも、一作目がいかに傑作かは分かっていただけたでしょうか?
さて、そんなわけで、傑作だった一作目の好評を受け、当然の流れとして、二作目が作られ、以降、ペースは遅めかつ、作品のレベルもまちまちながら、『ダイ・ハード』シリーズは五作目まで続くことになります。
『ダイ・ハード』は、なぜ、ここまで続くシリーズになったのでしょう?
その最大の要因として私は、主人公であるジョン・マクレーンのキャラクター性が挙げられると思います。
以下で、その魅力を語っていきます。
①等身大のヒーローである
前述の通り、ジョンはあくまでも、ただのいち刑事です。
そんな彼が、止むに止まれぬ状況に出くわし、望んでもいないのに、ヒーローにならざるを得なくなっていく。
それがシリーズの骨子です。
そのため、彼はシリーズを通して、基本的にはやりたくないことを嫌々やらされているという構図になります。
ゆえに、彼は最初から最後まで文句を垂れながら戦います。
その等身大な姿が、最高にいいのです。
やりたくないこと、でもやらなければならないことを、文句を垂れながらでも、絶対にやり通す。
このカッコ良さ。
そして、ボヤキ自体の面白さ。その二つが、ジョンの大きな魅力です(ある意味、『水曜どうでしょう』での大泉さんに通じるものがあると思います笑)。
②とにかくボロボロ
ジョンの魅力二つ目は、ボロボロであること、これにつきます。
なんせ、ただのオッサンがテロリストと戦うわけです。無事に済むわけがないですよね?
ですから、ジョンはシリーズを通して常にボロボロになりながら戦うのです。
一作目の足からガラスを抜くシーンはシリーズ屈指の名シーンですし、四作目では、ボロボロになるというジョンならではの戦い方で敵に勝利します。
個人的には、ジョンがボロボロになればなるほど面白い。それがこのシリーズだと思います(笑)
③家族思い
シリーズを通してみていくと、『ダイ・ハード』は、実はジョンと家族の物語なのだということが分かります。
一作目、二作目は、直接間接の違いはあれど、妻ホリーを救うために戦う姿が描かれます(さらに、一作目では彼の子供達もキーマンになってきますね)。
三作目では離婚の危機を迎えていますが、テロリストとの戦いの裏で、ホリーとの絆を取り戻そうとする健気なジョンの姿も描かれています。
四作目では、人質にとられた娘を助けるために死地へ向かうことになりますし、五作目では、CIAのエージェントとなっていた息子の仕事を手伝うために戦うことになります(一作目のあの可愛らしい子供達が、それぞれ、ジョンに負けず劣らずタフに育っているのは、シリーズファンにはたまらないものがあります)。
このように、シリーズを通して描かれるジョンと家族との関係ですが、実は、二作目を除き、基本的には冷え切った状態からのスタートとなります。
それにも関わらず、ジョンは家族のために、進んで死地に飛び込んでいくのです。こんなに家族思いなオヤジ、他にいますか?(と言いつつ、映画には結構よく出てきますね、こういうオヤジ。『96時間』シリーズのブライアン・ミルズとか笑)
この、ジョンの人間臭さ溢れるキャラクター。
これがあったればこそ、映画としての完成度にばらつきがありながらも、何作も続くシリーズになったのです。
私は断言しますが、『ダイ・ハード』シリーズのファンは、作品自体というよりも、寧ろ、ブルース・ウィリス演じる、ジョン・マクレーンのファンなのです!
まとめ
と、いうわけで『ダイ・ハード』シリーズの魅力を紹介しつつ、作品への愛を語ってみました。
『ダイ・ハード』は、確実に、私が映画好きになるキッカケの一つになった作品です。
もちろん、全作、手元に置いてあります(惜しむらくは、吹き替えの帝王版ではないので、四作目を除いて、故野沢那智さん版がないことです……。『ダイ・ハード』シリーズは基本的にテレ朝のテレビ放映版で観ていたので、野沢さんの吹き替えじゃないと嫌なのです)。
未だ噂レベルではありますが、六作目が制作されるかもしれませんし、何より、いつ観ても絶対に面白いのが『ダイ・ハード』です。
皆さんも、お時間ありましたら、この機会に是非、観直してみて下さいね!
そして、未見だというそこのあなた! まずは一作目だけでも観てみて下さい!!
面白さは折り紙付きですよ!!!
ではでは、今回はこれにて!
今後も不定期で私の生涯ベスト級作品を紹介していきますので、もしよかったら、またお付き合いください。
(次回は、多分、今話題のあの超有名ヴィランが登場する「ダ」で始まって「ト」で終わるアレかなぁ?)