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11年間22作品という映画史上最大シリーズの集大成『アベンジャーズ/エンドゲーム』

どうも、とりふぁです。

本日扱う作品は、正直、扱おうかどうか迷いましたし、なんなら、扱わないほうがいいかなぁくらいに思っていた作品です。

というのも、映画史的には唯一無二というかなり特殊な作品で、さらに言うと、本作に限っては、ネタバレなしには語れない作品なんですよね。

そのため、当ブログの趣旨には反するなぁと思い、リアルタイムで観てはいたものの、扱うのを避けてきた作品なんです。

とはいえ、まぁ、年に一回くらいはネタバレしてもいいか、年も明けたしな! ということで、今回は年に一度のパーリナイ(なにそれ)ということで、映画のあり方自体を変えてしまった、映画史上最大最強のブロックバスター超大作、アベンジャーズ/エンドゲーム』ネタバレ全開でご紹介します!!!!

今回は、完全ネタバレ、なんなら、全作観てるよな?! という当ブログにおいては前代未聞のノリで行きますので、その点はご注意、ご留意お願いしますm(_ _)m

もっとも、記事の前半部分は、本作の内容やネタバレではなく、本作の成り立ちや、私がどんな環境で観たかなどの話題なので、ネタバレが嫌な方もそこまでは読んでいただけると嬉しいです。

軽くではありますが、なるべく公平な視線で、例のスコセッシ論争の裏側にも触れますので。

 

 

アベンジャーズ/エンドゲーム』のあらすじ

ニック・ヒューリーという一人の男が、数多くのスーパーヒーローを集めて結成したヒーローチーム、アベンジャーズ

その目的は、宇宙の脅威から地球を守ること。

しかし、宇宙最大の脅威、サノスの前に、彼らは敗北を喫してしまう。

その結果は、宇宙に存在する全ての生命体の半数が、ランダムに消滅するという、最悪のものだった。

誰もが仲間を、愛する者を失い、失意の中に突き落とされた。

そんな、最悪の悲劇から5年。

サノスが起こした大量虐殺により、消滅したと思われていたアベンジャーズの一員、スコット・ラング(アントマン)が突如として現れたことで、事態は急変する。

「もしかしたら、全てを元に戻せるかもしれない」

かくして、誰もが諦めていた、最大最後の復讐(Avenge)が始まる——。
「Avengers......ASSEMBLE!!」

 


レビュー

11年間22作品という、史上最大の映画シリーズ

本作は、Marvel Cinematic Universe(MCU)と呼ばれる作品群の(一応の)集大成として作成された作品です。

これは、世界観を共有する複数のヒーロー達を主役とする作品を次々と公開し、節目節目でまとめ上げるという、映画史上稀に見る一大プロジェクトでした。

その結果、一作目である『アイアンマン』から本作まで、11年間22作品という、脅威的な作品数とペースで映画史に燦然と輝く最大最長シリーズと化しました。

特に、驚くべきはそのクオリティの高さです。

シリーズを通して多少の上下はあるものの、基本的には、全作品が一定の水準に達しており、その上で、他作品との整合性もバッチリ。さらに、公開当時の時勢に合わせたメッセージ性まで組み込まれているのですから、凄まじいったらありゃしません。

その作品群は、世界中で大ヒットを飛ばし、MCU以降、様々な作品で【ユニバース化】させようという流れができました。

しかしながら、今のところ、MCU以外に成功したと言える作品は皆無

その理由は、もちろん、この徹底したクオリティコントロールにあります。

そして、他のユニバースが、MCUに比べると、全くお話にならないほど少数の作品にとどまっているにも関わらず、クオリティコントロール的には軒並み悲惨な結果になっていることを考えると、MCUが、いかに奇跡的な離れ業をしてみせたかが分かると思います。

そうして出来上がった、まさに映画史上最強シリーズとも言えるMCU

今後、この偉業を超えるシリーズはなかなか出てこないでしょう。

仮に出てきたとしても、それは、何十年も後になってしまうのは間違いありません。

要するに、良きにしろ悪しきにしろ、映画に興味があるならば、今、絶対に観ておくべきシリーズなわけです(※)。


※もっとも、私自身、このシリーズは大好きではありますが、手放しで褒めちぎるつもりもありません。スコセッシ論争を引き合いに出すまでもなく、MCUが映画界にもたらした影響は、いいものだけではないからです。前述した、なんでもかんでもユニバース化の流れももちろんですが、それ以上に、映画の作り方、予算の集め方、かけ方への影響が大きく、MCU以降、映画業界は、誰にでも観やすいような大作系作品以外は、なかなか予算が出ないという状況になってしまったのです。ちなみに、スコセッシやコッポラの発言は、ここら辺の事情も大きく関わっていますので、決して、巷で思われているような、単純なMCU批判ってわけでもないんです。

そして、近年、大物監督がネット配信限定の映画を撮っているというのは、そうした現状に対するカウンターでもあるんです。

 

↑全てはここから始まりました。


どのような環境で観たか

今回は、珍しく映画館で観た作品、それも、確実に映画史に残る作品ということで、興味はないかもしれませんが、私自身がどのような環境、状態で観たかもご紹介したいと思います。

私は本作を『アイアンマン』アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』までの全作(と言いつつ、キャプテン・マーベルは飛ばしてしまいました汗 その後観ましたけども)を観た上で、IMAXレーザー4K3D版を、埼玉県にある【109シネマズ菖蒲】で観てきました。

本当は、シネマサンシャイン土浦】で観る予定で、チケットまで買ってあったのですが、当日、機材トラブルにより、まさかの上映中止になってしまいまして……(^◇^;)

返金はされたものの、どうしても諦めきれず、そこから間に合いそうなIMAX対応映画館を探し出して、埼玉まで遠征したわけです(自宅から考えると、土浦すら結構な遠征ですが汗)。

でも、そこまでした甲斐はありました。

劇場内は、IMAX3Dという、決して安くはない上映形態にも関わらず、ほぼ満席

客層も様々で、自分のような映画好きっぽい方はもちろん、カップルに親子連れ、さらに、白人の親子までいらっしゃいました。

キャップの”あの台詞”から始まる最高のラストバトルシーンでは、場内のそこここから聞こえるすすり泣きの声

私の隣の方はティッシュ持参でバンバン号泣。先ほどの白人親子、特に、息子さん(年齢的には、それこそMCUと同い年くらいかな?)は身を乗り出して画面に集中

その場にいる全員が、まさに一丸となって(Assembleして)感動を共有するという、素晴らしい空間がそこにはありました。

この映画体験は、個人的な映画体験ベストである、4DXと『マッドマックス/怒りのデス・ロード』とを共に初体験した時に匹敵する最高の映画体験でした。

これはまさに唯一無二で、将来、子供に自慢できる体験だと思います(笑)

 


感謝しかないという、稀有な作品

 


(ここから直接的なネタバレになってきます!!)

 

 


さて、そんな中で観た本作ですが、まさに【最高】でした。

もっとも、完璧な映画ではありません。バランス的には、寧ろ酷いくらいの作品だとは思います。

何せ、前半部分は、前作のラストの悲劇をまるまる引きずった暗いトーンで、ヒーロー達がぐちぐちぐちぐちしているだけて、一つも楽しくありません

しかも、展開的にも、ヒーローがヒーローを説得するという展開が何度も繰り返されるだけで、正直、ファンでも飽きてしまいます(もちろん、それまでの関係性とか設定を念頭に入れて観るといいシーンもありますけどね)。

ですが、その後は、11年間22作品という、まさに【歴史】を積み上げてきたからこそのシーンの連続です。

 


いいですか、ネタバレしますよ〜〜!!

 


要するに、各ヒーロー達が複数のチームに分かれて、タイムマシーンで過去作の時間軸に飛び込んでいくわけですよ!!!

もちろん、タイムマシーンやっちゃったらなんでもありじゃんというアレなところはありますが、でも、11年間22作品という【歴史】に対する一つの答えだと考えると、これ以上ないほどの展開なわけで!!!(しかも、タイムマシーンが反則技であるということにまで言及し、笑いに展開しているという、これまた抜け目のなさ)

しかも、さすがクオリティコントロールの鬼というか、飛び込むシーン、シチュエーションの分かってるっぷりも凄まじい。

シリーズファンなら間違いなく好きなシーンの上位に上がるだろう、アベンジャーズ一作目のラストバトル、ガーディアンズ・オブ・ギャラクシーのオープニングという二大巨頭に飛び込んだ挙句、その裏側で起こっていたアレコレを見せてくれたり、さらには、そのシーンを客観視して笑いに変えるという芸当までやられてしまったりしたら、それはもう破顔するしかないわけで……!!

 

そうして陽の盛り上がりを用意した一方で、残りの2チームは辛い運命へ向かっていくことで、陰の盛り上がりも見せてバランスを取っちゃうあたりも、やはり凄まじいクオリティコントロール力としかいいようがないです(これができるなら、なんで前半ああなったと言いたくもなりますが汗)。

しかも、社長とキャップはそこからさらにタイムスリップし、お互いにとって、ある種因縁の相手とも言える人物と再会したり……。

個人的には、社長ことトニー・スタークと彼の親父さんとの確執が、文字通り、時を超えて解消されるシーンは、何度観ても涙してしまいます(うちの父との間に確執はないのですが、逆に、物心つく前に父が他界してしまったことで、父との思い出がほとんどないことに起因してるとは思うのですが)。

キャップとカーターとのガラス越しの一方的な再会は、キャプテン・アメリカ/ザ・ファースト・アベンジャー』から続く壮大なる伏線にもなっていますし……。

もう本当、ここ周りのシーン大好き……!!!

 

そして、現在のネビュラと過去のネビュラが何故か繋がってしまうという、ちょっと苦しいきっかけではあるものの、最強最悪の敵、サノスとのラストバトルへと物語は雪崩れ込んでいきます。

このラストバトルが非ッッッッ常に素晴らしい!!

余裕綽綽なサノスに対し、万感の思いを抱いて突撃するビッグ3(アイアンマン、キャプテン・アメリカ、ソー)。

11年分の経験を活かし、黄金のコンビネーションで挑むビッグ3に対し、驚くべきタフネスで一歩も引かないサノス。

さらには、アベンジャーズ/エイジ・オブ・ウルトロン』から貼られていた【キャップはムジョルニアを扱える】という伏線を、満を辞しての回収!!

アイアンマンから譲り受けた盾と、ソーから譲り受けたムジョルニアでキャップがサノスに挑むという、胸熱展開!!!

しかし、サノスは圧倒的な実力と軍事力でその心を打ち砕きに来る。

無敵の盾もボロボロに砕け、キャップの心も折れるのか……と思いきや、全然折れてない!! もう1ラウンドだ! とでも言いたげなキャップが盾のベルトを締め直すと、どこからともなくサム(ファルコン)の声が。

しかも、その際のセリフは、キャップとサムの出会いのきっかけにもなった「On your left(左から失礼)」!!!

そして次々と開くゲートを通って、いなくなってしまった仲間達が続々と全員集合!!!!!

このシーンの神々しさたるや……。

そして繰り広げられる、映画史上最も豪華な大戦闘シーン。

アレだけの数のキャラクターとモブがドッカンドッカンぶつかり合っているにも関わらず、ルッソ兄弟らしい、丁寧なルール設定(ガントレットをバンまで運べば人類の勝利。ガントレットを奪えばサノスの勝利)や構図(左が味方で右が敵)の作り方で、何がどう争われているのかが分かりやすく、どのキャラにもきっちり見せ場がある

これ、なかなかできるもんじゃありません。

11年間22作品をかけて積み上げられてきたキャラクター達が、活き活きと動き回っている。

もうね、私はここで涙腺決壊。

我々ファンは、これが観たくて11年間付き合ってきたんだ……。

そして、それを考えうる限り最良最高の映像でもって【魅せて】くれた……。

胸に去来する、圧倒的な感謝の情。

これはもう、込み上げる涙を抑えるなんて無理です。

正直、本作単品でこのシーンを観ても、これほどの感動を得ることはないでしょう。

でも、11年間22作品という途方もない時間を、この作品のために捧げてきたファンにとっては、これ以上ない至高のシークエンスです。

MCUという一大シリーズの全ての要素が、この時のためにあったのだという、超高密度な感動爆弾。

あの涙と感動は、確実に今まで一度も味わったことのないものでしたし、きっと、一生心に刻まれるものでした。

 


これ以上ない完璧なラスト

ラストバトルを終えた後のシークエンスも、ファンにはたまりません。

生まれた時から、神であり王族であるというレールの上を歩いてきたソーが、自らの意思で旅に出て、糞野郎寸前の独善的な人間だったトニー・スタークが、人類のため、家族のために自らの命を投げ出し、そして、滅私奉公の精神で、常にみんなのヒーローだったキャップが、ただのスティーブ・ロジャースとして自分の人生を生きる……ビッグ3の物語の結末として、なんて完璧な着地なのでしょう。

最後の最後まで、完璧なクオリティーコントロール

これはもう、脱帽を通り越して脱糞するレベルです。

(不適切な表現があったことを謹んでお詫び申し上げます)


完璧なラストのその先

そして、さらに驚くべきは、本作はおそらく、後から振り返ると、完璧な完結編であったと同時に、完璧な序章であったと言われるであろうというところです。

というのも、MCUは、今後もフェーズ4という、次の10年へと歩みを進めるからです(ちなみに、フェーズ3の完結編は、エンドゲームではなく、スパイダーマン/ファー・フロム・ホーム』です)。

 

そして、その観点で見てみると、どうやら本作、結構伏線があるのでは……? ということが散見されるのです。

以下は、レビューというよりも考察の部類にはなってしまいますが、私なりに伏線かな? と思った部分をいくつか紹介します。


・ソーの物語は終わっていない

まずは分かりやすいところから。

ソーについては、ビッグ3で唯一、物語が完結していませんし、寧ろ、ソー個人としては、ここから、自分探しが始まるような展開になっていました。


・ガモーラの行方

本作で時間が巻き戻る形で復活したガモーラですが、ラストバトル後に行方不明になっており、クイルが彼女を探しに出るということは間違いがありません。


・2代目キャプテン・アメリカ

本作でスティーブはキャップの役目を降り、その役目をサムへと譲りました


・タイムラインは分岐する?

ブルース・バナーやジ・エンシェント・ワンが説明した時間の流れについての話を要約すると、MCUにおける過去改変は、現在に影響を及ぼすのではなく、【その改変箇所を元に別のタイムラインが生まれる】ということになります。

分かりやすいのは、現在のネビュラが過去のネビュラを撃ち殺すシーンです。

もし仮に過去改変が現在に影響を及ぼすなら、過去のネビュラが死んだ時点で、現在のネビュラは存在しないことになるはずです。

しかし、実際は過去のネビュラが死んだにも関わらず、現在のネビュラには何の影響もありませんでした。

ここで、新たなタイムラインが生まれたのです。

要するに、現在のネビュラが生きてきたタイムラインとは別に、5年前にネビュラが死んでしまったというタイムラインが生まれたわけですね。

このように、MCUにおける過去改変は、別のタイムラインを生み出してしまうようなのです。

さて、その観点で見てみると、次のような伏線が本作にはありました。


・消えたロキと四次元キューブ

本作中で、2014年のニューヨーク決戦後に、ロキが、偶然四次元キューブ(スペース・ストーン)を手に入れ、異次元へと消えてしまいました

これにより、ロキがニューヨークで四次元キューブを手に入れたというタイムラインが生まれてしまっています。

ロキという重要人物と、四次元キューブという重要アイテムが、ともに行方不明。

これは、非常に大きなターニング・ポイントではないでしょうか?


・キャップが悪い芽をつんだ?

これについては劇中での言及がないため、私の想像にしか過ぎません。

しかしながら、個人的には、キャップが過去へインフィニティ・ストーンを返しに行く際のセリフが、少し気になるんですよね。

「悪い芽は摘んでくる」

的なことを言ってるんですよ。

これは、単純に考えればインフィニティ・ストーンをきっちり返してくるってことなんでしょうが、しかし、それにしては、なんだか含みがある気がします。

もしかすると、過去へ戻ったキャップは、石を返す以外にも、なんらかの工作をしたのではないでしょうか?

そして、そうだとすると、その工作の分だけ、別のタイムラインが生じてしまうことになります。

そんな工作があったのかどうか、そして、それがどんな影響を及ぼすのかは、今後のシリーズ展開次第ですが、なんとなく、私は気になってるんですよね。(個人的な妄想としては、ヴィジョン、ブラック・ウィドウが生き残るような工作をしたんじゃないかと思っています)


まとめ

ということで、非常に長くなりましたが、アベンジャーズ/エンドゲーム』のご紹介でした。

たまには、こうしてガッツリとネタバレや考察を含めた記事を書いてみるのも面白いですね(笑)

まぁ、今までの基本スタイルを崩すつもりはありませんので、あくまでも年一くらいの特別企画くらいに思っておいてください(^◇^;)

とにもかくにも、本作は、一本の映画として見た場合は、非常にバランスの悪い作品ですし、映画史的にも極めて特殊な作品だとは思います。

でも、だからこそ、シリーズを追い続けてきたファンにとっては、まさに宝箱のような作品でもあります。

ユニバースという形態や、本シリーズが映画界に及ぼした影響の是非は置いておくにしても、個人的には、MCUは追ってきてよかったと思うシリーズですし、この時代に生きているならば、ぜひとも追ってみて頂きたいシリーズです。

早くも今年からフェーズ4が始まりますし、今後も目が離せないシリーズですね!!

 


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