息子のために不可能な任務に挑む『THE FORGER/天才贋作画家最後のミッション』
どうも、trifaです。
皆さん、【ケイパーモノ】ってジャンルはご存知ですか?
様々な技能のスペシャリスト達が一堂に会し、一つ、あるいは複数のお宝を盗み出すって奴です。
比較的最近の有名どころだと、『オーシャンズ・イレブン』シリーズや、『スナッチ』、あるいは、『ワイルド・スピード』の五作目以降とかですかね。
日本人に馴染みのあるところで言うと、『ルパン三世』シリーズもケイパーモノと言えると思います。
今回ご紹介する『THE FORGER/天才贋作画家最後のミッション』は、そんなケイパーモノの一つに位置しながらも、親子の絆を丁寧に描く、いい作品でした。
『THE FORGER/天才贋作画家最後のミッション』のあらすじ
刑務所に服役中のレイは、末期癌の息子との最期の時を過ごすため、過去に付き合いのあった犯罪組織のボス、キーガンに頼み込み、残りの刑期を金で買い取る裏取引をした。
無事出所し、息子のもとへ戻ったレイであったが、時を同じくして、キーガンから借りを返せとの連絡が入る。
キーガンからの要求は、ボストン美術館に展示されているモネの『散歩、日傘をさす女性』の贋作画を作り、本物とすり替えること。
期限は短く、警備は厳重。
しかし、息子との平穏な時間のためにも、この不可能なミッションを必ず成功させなければならない。
天才贋作画家レイの最後にして最大のミッションが、今、幕を開ける——。
「願いを言え。3つの願いを。俺が必ず叶えてやる」
レビュー
美しき家族の絆を描いた物語
本作は、前述した通り、ケイパーモノと呼ばれる犯罪映画に大別される作品ですし、もちろん、そのジャンルならではの面白さもしっかりあります。
しかしながら、本作においては、父、子、祖父、そして母の、親子の絆こそが主軸として描かれていきます。
メインとなるのは、もちろんジョン・トラボルタ演じるレイと、その息子とのささやかながら心あたたまる交流です。
レイは息子に、ランプの魔人ジーニーのごとく、「3つの願いを叶えてやる」と約束し、息子も、そんな父親に段々と心を開いていきます。
また、そこで展開する3つの願いと、それを叶えるためのレイの行動のどちらもが不器用で、でも愛しくて……胸を打たれます。
レイは、贋作画家であるからこそ、先の短い息子のために「人生」、そして、「希望」という名の贋作を送るのです。
派手さはないものの、素晴らしい演技アンサンブル
本作は、この演技がすごい!! というような派手さはありませんが、ジョン・トラボルタや、クリストファー・プラマー、タイ・シェリダンら、名優達の抑制の効いた自然な演技が魅力です。
中でも、クリストファー・プラマー演じる祖父の、普段はおちゃめなおじいさんなのに、その実、豊富な経験から来る老獪さで敵を欺く、歴戦の詐欺師っぷりがカッコよすぎます!! あれは、男子みんなが憧れるおじいちゃん像の一つじゃないですかね?(笑)
ジョン・トラボルタも、今回はアクの強い演技は封印して、実力派ならではの人間味溢れる演技を披露してくれます。トラボルタって、人間としての存在感がハンパじゃないので、実はこれくらいの役柄の方が実力を発揮しやすいと思うのは私だけでしょうか……?
また、メインキャラクターではないながら、個人的にグッときたのは、レイの元妻、キムを演じたジェニファー・イーリーの演技です。
とある事情によりレイと別れ、息子、ウィルとは赤ん坊の頃以来顔も合わせていないダメな母親でありながら、それでも、ウィルのために自分にできる限りの精一杯の笑顔と愛情を与えてあげようとする不器用さを全身で体現しており、別れのシーンでは、思わずホロリとさせられてしまいました。
全体的に演技が素晴らしい作品ではありますが、中でも、彼女の演技は今作屈指の名演だと思います。
ケイパーモノらしい快感もきっちり
本作ラストでは、いよいよ難攻不落の美術館で絵をすり替えるというシークエンスになるわけですが、ここでは、一気にケイパーモノらしいハラハラドキドキ感と、作戦がハマっていく快感を味わうことができます。
また、最後の最後に一捻りあるあたりもスパイ大作戦的で楽しいあたりです。
まとめ
ということで、『THE FORGER/天才贋作画家最後のミッション』のご紹介でした。
本当、小粒ながらキラリと光る名作という感じで、個人的には、度々思い出すであろう、大好きな作品の一つになりました。
本作を勧めてくれた友人に感謝です……!!
ちなみに、【MIHOシネマ】さんで詳しいあらすじ等も読むことができます↓
※今回ご紹介した『THE FORGER/天才贋作画家最後のミッション』は、2019/11/25現在、アマゾンプライムにて無料配信中です。