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音だけで展開する映画『THE GUILTY ギルティ』

どうも、とりふぁです。

私は、普段、TBSラジオの番組『アフター6ジャンクション』というのを四六時中聴いているのですが(3時間×5日の番組なので、それくらいしないと聴ききれなくて汗)、いつだったか、その番組で紹介されていたのが、本日ご紹介する『THE GUILTY ギルティ』でした。

なんでも、【基本的には音だけで展開する映画】ということで、ラジオ関係者的には、かなり度肝を抜かれたということで、ずっと気になっていました。

で、そんな作品が、この度アマゾンプライムビデオに追加されていたので、「これ幸い」と鑑賞してみたら、これがまたちょっと物凄いレベルの傑作だったのです……!!!

あまり映画にランキングをつける性分じゃないのですが(前はちょこちょこランキング載せてましたけどね笑 企画としては好きなんですw)個人的には、今年触れた映画の中では、今のところダントツの1位ですね。

ただ、どう傑作なのかを語るとネタバレになってしまう(といっても、その要素がなかったとしても、普通に秀逸な作品なんですけどね!)ので、そこのところは、また別にネタバレ記事を出すかもしれません。

というわけで、さっそくご紹介です!!

 

 

『THE GUILTY ギルティ』のあらすじ

アスガー・ホルムは優秀な警察官であったが、とある事情により、今は現場ではなく、

緊急通報指令室のオペレーターとして仕事をこなしていた。

緊急通報指令室の仕事は、人々からの様々な通報を受け、通報者のケアをしつつ、その内容に応じた各種手配を行うことで、事件や事故の初期対応を迅速かつ滞りなく行うことだ。

地味な仕事ではあるが、その対応如何で、事件・事故の被害を最小限にとどめることができるのか、それとも、最悪の事態への引き金を引いてしまうのかが問われる、非常に重要な仕事でもある。

そんな中、アスガーは、警察官としての経験と、持ち前の洞察力を活かし、円滑にオペレーターとしての仕事をこなしていた。

しかし、それも今日まで

明日になれば、また、警察官として現場に戻るチャンスが来る。

そうした、オペレーターとしての勤務終了まであと数分という中、ある一つの通報が、彼の下へと舞い込むのだった――。

「イエスかノーで答えてくれ。誘拐されたのか?」

「――イエス

 

 

 

レビュー

音だけで推理する、推理させるという発想

本作でまず面白いのは、【音だけで推理する、推理させる】というこの状況を思いつき、なおかつ。これ以上ない形で具現化したことでしょう。

確かに、これまでも、シャーロック・ホームズ『96時間』などの天才、あるいは、なにがしかの特殊能力を持つ主人公が活躍するような作品では、状況によって、音だけで推理するというシークエンスはよく登場しました(例えば、目隠しをされて誘拐された主人公が、街の音だけで自分の居場所を特定するなど)。

 

 

しかし本作は、そんな音だけで推理するということを、85分という尺のほぼ全編に渡って行っていくのです。

私の知る限りでは、こんな作品は他にありません。

近いのは『見えない目撃者』や、逆の視点ではありますがドント・ブリーズなどの盲目の登場人物が活躍するような作品群かなとは思いますが、それらの多くは、【音を視覚的に表現】したり、【盲目の者を客観的に映すことで不安をあおる】というような手法を用いることが多いので、やはり、本作とはまた質が違ったものかなと思います。

 

↑『見えない目撃者』、日本版・台湾版ともに面白かったですよ~!(韓国版は未見です汗)

 ドント・ブリーズ』続編も楽しみですね~!

 

本作描かれるのは、オペレーターとして電話対応する主人公の視点(=主人公の聴いている音)のみであり、当然、我々鑑賞者も、電話越しに聞こえる音を頼りに、事件のありようだったり、その後の展開を推測しながら観ていくことになります。

さらに上手いのが、本作の主人公を現場へ行く警察官ではなく、あくまでも後方支援として誰かに指示を出して、あとはただ【待つしかない者】にしていることです。

待つしかない者というものは、すなわち、【傍観するしかない者】でもあり、そしてそれは、映画を観る我々、【鑑賞者の立場と同じ】なわけです。

しかも本作は、映画内の時間経過=作品内の時間経過となっている、リアルタイム展開でもあるので、主人公と観客とのシンクロ率はさらに高いものとなります。

こうした様々な工夫により、鑑賞者と主人公を同一の立場に立たせ、ある種の共犯関係にしていることこそ、本作の最も優れた点だと私は思います。

それが故に我々はハラハラドキドキさせられるとともに、終盤の展開にも効いてくるのが、なんとも唸らされる点でした。

 

主役の演技力が凄い

その他の見どころとしては、主役であるアスガーを演じたヤコブ・セーダーグレン演技力に尽きると思います。

というのも、本作はその性質上、ところどころで同僚との会話などはあるものの、絵面としてはほぼ全編が彼の一人芝居になるわけで、いくら脚本がすばらしかろうが、演出が見事であろうが、編集が秀逸であろうが、なにはともあれ、彼の演技が魅力的でなければ、85分という尺を埋めることは絶対に不可能なのです。

そうした前提の上で、彼の演技を見ると、まさに完璧

脚本の巧みさとも相まって、冒頭の数分間のみで、なんの説明もなくとも、彼がどんな人物で、どれくらいの能力があるのかがはっきりと読み取れますし、その後の彼の焦りや緊迫感も、観ていて胸が張り詰めてくるほどに伝わってきます。

髪型なども含めて、なんとなくプリズナーズでのジェイク・ジレンホール(個人的には今のところ、彼のベストアクトだと思います。『ナイトクローラー』と迷いますが……ちなみに、両方ともレビュー済みです!)を思い出しました。

 

trifa.hatenablog.com

 

trifa.hatenablog.com

 

ジェイクの演技を観たことがあればわかると思いますが、それくらいのレベルの見事な演技で全編を引っ張ってくれます。

それだけでも、必見です!

 

まとめ

ということで、『THE GUILTY ギルティ』のご紹介でした。

正直、今回書いたのは本作の魅力の半分以下くらいかなと個人的には思いますが、そうだとしても、映画が好きという方であれば必見の面白さだと断言できますし、普段映画をそこまで観るわけでもない私の妻ですら、「面白い……!」と最初から最後までしっかり集中して観ていましたので、意外とキャッチ―な作品と言えるかもしれません。

しかしながら、本作の最もすさまじいところは、そんな風に【普通にめちゃくちゃ面白い映画】として観ていると、物凄い角度で足元をすくわれてしまうというところにあります。

私としては、生涯ベスト級の一本がまた増えたなというほどに気に入った作品ですので、ぜひ一度は御覧下さい!!

そして、じゃあ、なにがそんなに凄かったのかというのは、次回更新のネタバレ記事で書きたいと思います。

そんなに間を置かずに更新できればと思いますので、楽しみにしていただければ幸いです^^

ネタバレを読んでから興味を持っていただいても面白いかなとは思いますが、しかし、やはり初見は情報を入れずに観るべきとも思いますので、未見の方は、ネタバレを踏む前にぜひ一度ご鑑賞を!!(2回目

ではでは、とりふぁでした~!

 

※本日ご紹介した『THE GUILTY』は、2021/7/31現在アマゾンプライムビデオにて無料配信中です。

 

最強の映画メディア『MIHOシネマ』さんの記事はこちら!↓

mihocinema.com

※あえてネタバレなしをリンクしましたが、『MIHOシネマ』さんにはネタバレ有記事もありますので、鑑賞済みの方はそちらもどうぞ!