優しい視点を持つことの大切さ『ワンダー/君は太陽』
どうも、とりふぁです。
実は自分、結婚してて子供もいるわけなんですけど、そうなって変わったことの一つに、【子育て】や【家族】をテーマにした映画を、意識的に観るようになったってことがあります。
もちろん、もともと嫌いとかではなかったのですが、それ以上に、アクション映画やSF映画みたいなスペクタクルなもんが観たいとなってしまっていたんですよね。
その好みは変わってはいないんですが、結婚して子供が生まれてからは、そういう映画も率先して観るようになったんです。
そして、観てみるとこれがまた面白い。
そんなわけで、本日は【子育て】や【家族】をテーマにした作品、『ワンダー/君は太陽』をご紹介します!
と言っても、実際に観ると、それだけではない、もっと普遍的なテーマを扱った映画だということが分かってくるんですけども……!!!
『ワンダー/君は太陽』のあらすじ
宇宙と科学が大好きな少年、オギーは、トリーチャー・コリンズ症候群と呼ばれる疾患により、生まれつき顔が変形しており、また、何度も何度も手術を乗り越えてきた。
そんな境遇ゆえに彼は、学校へ通わず、優しくあたたかな家族のもとですくすくと育っていた。
しかし彼の両親は、彼が中等部に入る年齢になったタイミングで、普通の学校に通うことを提案する。
少しの葛藤がありながらも、その提案を快く受け入れた彼であったが、やはり、子供ならではの直接的な差別と偏見にまみれた社会がそこには広がっていた。
これは、そんな中で彼が起こした、小さな奇跡と変革のお話しだ——。
「——顔は、今まで私たちがどんな道を歩んできたかを示してくれる地図なのよ」
レビュー
一人の少年とその家族が差別や偏見を乗り越える話し——ではない!
本作を観る前は、「少年と家族が差別や偏見を乗り越えていくよくある話しだろう」と安易に考えていました。
しかし、実際に観てみると、確かにそういう側面もあるにはあるものの、主眼はそこではなく、むしろ、その周りまで含めた全体で、とても普遍的な話しであり、もっと言えば、オギーの障害は、きっかけになりこそすれ、全体のテーマから見れば、些末なことだったのです。
では、本作はどんな話しなのか。
それは、私自身が個人的に自分の人生の上で大切にしていることでもある、「人にはそれぞれの事情がある」ということだったのです。
本作の焦点は、オギー達家族だけではなく、だんだんとその外側へ向けて移っていきます。
これにより、オギーという太陽の輝きに隠されてしまっていた、月の如き存在の姉や、オギーの周りを巡る惑星の如き友人、さらにその周りを巡る衛星の如き知人など、それぞれの事情や考え方が見えてくるのです。
そう、本作は群像劇なのです。
この作りにはやられました。
これは極めて個人的なことなのですが、先ほども書いた通り、「人にはそれぞれの事情がある」というのは、私自身の人生における指針の一つであり、そして、それを丁寧に描くという群像劇に私は弱いのです。
現実はこんなに優しくない——けれども
本作を観ると、多くの人が共感し、感動するだろうと思います。
本作は、それほどまでに普遍的なお話しなのです。
しかしながら、一点だけ気になることがあるのも事実。
それは、【現実はこんなに優しくない】ということです。
そう、本作はほぼ全ての人物や出来事が、【あまりにも理想的】に描かれているのです。
そういった意味で、本作はファンタジーとすらいえるかもしれません。
しかし、本作の成り立ちを知ると、それも、さもありなんと思います。
というのも、本作の原作は【児童文学】で、つまりは、【子供のため】にこそ作られた物語なのです。
優しい視点を持って欲しい
原作者のR•Jパラシオさんは、ある日、子供を連れてアイスクリーム屋へ行ったところ、本作の(便宜上の)主人公、オギーと同じような障害を持つ子供に出会い、そこで、子供が泣き出してしまったのです。
その時、パラシオさんは、どうすることがいいのか分からず、逃げ出すかのようにその場を後にしてしまったそうです。
その経験を後から振り返り、「これではいけない」と考えた彼女は、「あの子の障害を変えることはできない。ならば、私達の見る目を変えなければ」と思い、本作を書き上げました。
つまり、これは【子供達へ道を示す物語】であると同時に、【厳しい現実を知っており】、なんなら、【その加担者になってしまっていた自分】を恥じ、そして、【そんな現実を変えよう】と闘っている作品なのです。
だからこそ、本作では【厳しい現実】を脇へ追いやり、【優しいファンタジー】が描かれています。
そして、そこで示されていることは、【優しい視点を持ちましょう】ということなのです。
その上で本作の冒頭シーンを見ると、「正しいことと優しいことが選べるなら、優しいことを選びなさい」というたった一つの何気ない言葉が、ドシンと胸に落ちてくるのです。
まとめ
ということで、『ワンダー/君は太陽』のご紹介でした。
厳しい現実があるということは心に留めつつ、優しい気持ちに溢れた本作を観て、今一度、優しい視点というものについて考えてみるのは、とても有意義な時間だと思います。
私個人としては、子供が大きくなった時、是非観せたい一本になりました。
また、今回はテーマ性について焦点を当てたご紹介になりましたが、その他にも、ジュリア・ロバーツとオーウェン・ウィルソンという、名優による自然な演技も堪能できますし、また、色鮮やかな秋の景色の美しさにも目を奪われます。
(あと、個人的にはオギーのお姉ちゃん、ヴィアを演じていたイザベラ・ヴィドヴィッチちゃんがすげぇ可愛いと思う)
優しい気持ちになりたい時に、オススメの一本です。
※今回ご紹介した、『ワンダー/君は太陽』は、2019/12/11現在、アマゾンプライムビデオにて、無料配信中です。
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